投稿

プーチンの核恫喝

 プーチンが核兵器の使用をほのめかしている。相互の核兵器使用の抑止ではなく、現状変更の脅しに核兵器を用いるなど控えめに言って常軌を逸している。今現在侵略しているウクライナに対してだけでなくNATO加盟国にも核による恫喝を行うのだからマトモではない。今回使用される恐れがあるのは戦術レベルの核兵器とはいえ、かかる暴挙は容認できない。  こうした時に、命が一番大事なのだからプーチンの恫喝どおりに言うことをきくべきだなどという人は必ず出てくる。だが、そんな狂った要求をしてくる人間が支配する世の中で粛清に怯えながら奴隷のように生き死にするのは、当座の命が助かった代償として果たして適切だろうか?要求を飲んだあとに民族浄化されるくらいなら抵抗した方が良いのではないだろうか?抵抗としても戦いたくないのなら少なくとも不服従の姿勢はとるべきだ。明らかな悪をのさばらせてはならない。  もちろん対話も必要だが、ロシアから見た対話なんて核兵器使用のカードをちらつかせながらの脅迫に過ぎない。言うことを聞かなければ殺すというスタンスに何ら変わりはない。近日ベラルーシ国境でウクライナとロシアの対話が行われる予定だ。もし、ウクライナが理不尽な要求を飲めば、ロシアは核恫喝をどんどん活用するようになるだろう。ウクライナが屈せずにすむためにも、平和を愛する諸国民は積極的にウクライナを支援すべきだ。世界はファシストどもに負けてはならない。

職業差別反対

 ウクライナのゼレンスキー大統領の元職がコメディアンだとして、馬鹿にする差別主義者が散見されるが、コメディアンで何が悪いのか?実に馬鹿馬鹿しい話だ。少なくとも今のところは彼は立派な大統領だ。敬意に値する。もし元職を批判するなら国民を監視し場合によっては暗殺までする秘密警察出身のプーチンをこそ批判すべきだ。秘密警察や反社会組織のような人道に反する職業でもない限りは、職業全体を差別してはいけない。  軍人も日本では差別されがちな職業だが、彼らは平和を守る尊い仕事をしている。世界的には軍人は尊敬される事が多い。世界の中で日本ほど軍人が蔑まれる国も珍しいだろう。今現在、侵略行為を働いているロシア兵も軍人だが彼らは独裁者プーチンの命令を受けているのであり個々人にその責任は無い。独裁制がいけないのは軍が平和維持という本来の目的とは真逆の機能をもつこともその理由の一つだ。  他に職業差別といえば遊女に対するものなどが根強いがこの是否はどうだろうか?仏教の話で言えば、お釈迦様の弟子に元遊女がいたのは有名な話だ。仏教では遊女出身だからと言って差別されることはない。戒律もあるので遊女のまま出家することは出来ないものの、これは他の職業でも同じ事だ。なお、お釈迦様在世の頃の人気の遊女はかなりの財産を築いており僧侶の集まりであるサンガに土地の寄進も出来た事を考えると、社会的な地位も低くはなかったのは間違いない。  日本の仏教と遊女にまつわる話では、法然上人が流刑先に向かっている途中で遊女を教化したものがある。この遊女達は阿弥陀仏のお救いにあうが、この話では法然上人も遊女達も遊女の仕事を賎業だとみなしており、少なくともこの頃には遊女に対する社会的な差別は存在したと思われる。同時期の話である平家物語でも、白拍子が有力武士の寵愛を受ける話が見受けられるが遊女と同じく社会的立場は弱いものだった。  現代の日本を含め、売春行為が違法の国々では売春婦は違法な存在であり差別というよりは公的な取り締まりの対象だ。しかし、合法な範囲の性風俗産業や接待を伴う飲食業の従業員である、いわゆる夜職で働く女性達にも根強い差別が残っている。これは夜職自体を賎業と考える人達による差別の他、この手の職業を女性差別や搾取の象徴と考える人達からも迫害を受ける場合があり構造は複雑だ。前者は論外だとして、後者の立場でも夜職の従業員を...

有名医師の「反戦」慎重論に異を唱える

 コロナ禍において日々正しい医療情報の提供に従事するネット上の有名人は多い。そんな彼らの中の決して少なく無い一部の人たちが、今回の戦争に対して口を挟まないと明言している。戦争反対とさえも言わないのだ。  彼らの理屈はこうだ。戦争や政治の専門家で無い自分達は、この戦争に関して一体何が正しいのか分からない。だから迂闊に意見を表明すべきではないというものだ。これは一見すると正しいことのようにも思える。  だが、ならば彼らが日々必死になって伝えている正しい医療情報と、誤った陰謀論の修正も同じことが言えないだろうか?彼らの意見は医療者などの専門家以外の人はワクチンや手洗いやマスク着用などに関しての正誤が分からないから判断保留しこれらの感染防御対策を行わないのを是とすると言うのと同じだ。  確かに、戦争開始前から真偽不明の怪しい情報は行き交っている。こうした煽りに反応しないのは大切なことだ。だが今回、ロシアが軍事力をもってウクライナの主権と領土を侵し現状の変更をしようとしたのは間違いない。明らかな国連憲章違反だ。この暴挙に対してすらどちらが正しいのか分からないと言うのならば、彼らは侵略戦争すら条件によっては是認されるという思想を持っていることになる。  もし彼らに、そんな意図が無いのならばせめて「戦争反対」とは言うべきだ。逆にもし彼らえが侵略戦争万歳のマッチョ主義であるならば、あくまでも僕ちゃんは中立ですのなどと言う詐欺行為はやめて堂々とファシズムを賛美すれば良いのだ。

他者を助けてこそ大乗

 例えば目の前に大人から殴る蹴るの暴力を受けている子供がいたとする。放っておけば死ぬかも知れない。こういう状況に行き当たったら四の五の言わずに助けるか警察と救急に連絡するかやめるように諭すなどが人として正しい判断だ。  目の前に大人から殴る蹴るの暴力を受けている子供がいたとしても、いやいや実はこの大人にも何か事情があるのかも知れないし、実はこの子は大悪人なのかも知れないから放っておくのが中立で冷静で知的な判断などと言う人間は本当は賢くない。愚かだ。さらには、この子の親が悪人だから仕方がないとか、この子は差別されるべき民族だから仕方ないとか、バカバカしいことを言う人までいる。  百歩譲って仮にその子が不良で親が悪人で異民族であってもそれがどうした?それが理不尽に殺されそうになっている者を見捨てる理由になるか?慈悲の心はどこへ行った?方丈に籠もり俗世の苦しみを見てみぬふりをすることが仏道か?  仏教の諸宗派は日頃から平和をと言っているのだから、戦争のような惨事がおきれば宗門として公式声明の一つくらいあってもいいのではないか?私は戦争に反対する。

戦争が始まった

 戦争が始まった。ロシア軍がウクライナに全面的侵攻を開始した。実際には8年前から始まっていたといえばそうだが、今回のロシア軍の暴挙を正確に予測していたのは少数派であり世界は驚愕している。  今回のロシアの侵略は明らかに国連憲章に違反しており容認できないが、ロシアは国連安保理の常任理事国であり拒否権を持つ。国連としては有効な対抗処置は取れないだろう。だからといってもし世界がウクライナを見捨てれば、ウクライナと同様の憂き目にあう国が次々と生まれることだろう。では、欧米が全力でロシアを抑えに行った場合はどうか?欧米が介入すれうばロシアは核兵器の使用もほのめかしておりこちらも危険な状態だ。  このような状態で政治判断が難しいのは分かる。分かるが、本日この第一報を聞いた日本の岸田首相はロシアへの制裁に関して明言を避けた。これは明らかに侵略者に利する行為であり情けない限りだ。制裁内容を同盟国と詰めるのは当然としても、制裁を実施する旨をすぐに断言すべきだったのだ。そうでないと、日本は脅しに屈する国だという認識を世界に与える。そもそも法と正義を守る以上の国益があるだろうか?  日本人がウクライナのために出来ることは政府や政治家に陳情する程度しかないが、SNSなどでのつぶやきも無駄ではない。なぜならば、一部の政治家やジャーナリストや文化人などはロシアのデタラメな主張を再生産しプーチン独裁政権の印象改善を図っている。これを放置すれば、日本の有権者の一部もファシズムに同調し日本の国政に影響を与えかねない。  ただ、親プーチンの言論人で驚くベきは、近年のロシアがどんな行動をとってきたか、それを理解した上でプーチンを支持しているという事実だ。ウクライナ東部の傀儡政権樹立も、クリミア併合も、その後も軍事的恫喝も、そうした無茶な行動を全て知った上で「それはアメリカ悪いから仕方ない」というのだ。仮にプーチンの言い分が全て正しくても無理がある。もはや彼らは我々の知る倫理観の外におり、ロシア軍の恐ろしさを超える底しれぬ不気味さがある。彼らの宣伝を放置するのは危険だ。自由と民主主義を愛する反ファシズムの市民は彼ら帝国主義者の走狗に抵抗しなければならない。我々の子や孫に戦乱で苦しむ世界を渡さないためにも今こそが鍔際だと思う。

独裁者が陰謀論者だった場合

 ロシア軍によるウクライナへの侵略を正当化するために昨日行われたプーチンの演説内容を一言でまとめると、ウクライナなんて国は本来は存在せずアメリカの軍事拠点として利用されているからロシアは被害者だという感じの捏造話だった。これ自体も問題だが、プーチンが国内向けのポーズでは無く本気でそれを信じているのなら問題は更に深刻だ。世界を滅ぼしうる戦力が一人の陰謀論者の手に握られていることになるからだ。  どんなに非道な独裁者であっても言葉が通じるのであれば交渉の余地はある。だが陰謀論者との交渉は通常の言語や思考では困難だ。  ユダヤ陰謀論を信じていたヒトラーが何をしたかを思いだすべきだ。しかも現代のロシアの軍事力は第三帝国のそれを遥かに凌駕する。  トランプ前アメリカ大統領も大概だったが民主国であるアメリカには何重もの独裁防止の仕組みがあり、破局的な失敗は犯さずに済んだ。だが独裁国であるロシアではプーチンの気まぐれで何が起こるか分からない。  ウクライナ問題は決して対岸の火事では無い。日本にも親露工作をする政治家や文化人がいる。彼らは自覚の有無に関わらず帝国主義者の走狗だ。日本が戦後に築き上げてきた自由と民主主義をそんなファシストどもに蹂躙させてはいけない。

中立とは

 例えば、強盗が家に押し入り金目の物を全て出せと言ったとする。その時に駆けつけた警察が強盗を捕まえずに、双方の言い分の中間をとって被害者に金目の物の半分を強盗へ差し出すように勧めたらこれは中立だろうか?  例えば、レイシストがある民族を皆殺しにしろと主張していたとする。もちろんその民族は一人だってヘイトクライムによる被害者を出したくはない。そこで仲裁に入った第三者が、その民族の半数を殺すことで決着しましょうと提案すればそれは中立だろうか?  例えば、ソ連時代からずっと東欧諸国をいじめ抜いてきたロシアが、圧倒的な武力を国境に展開してウクライナを恫喝している現在。平和の使者を気取ったジャーナリストはウクライナが身を護るためにNATOに入ろうとしたのがロシアの恐怖心を煽ったのだからロシアだけを責めるのはおかしいと言う。彼らは本気でこれが中立的だと思っているのだろうか?  日本共産党ですらロシアの軍事的威嚇を非難しているというのに、嘆かわしくも一部の仏教関係者はロシアの軍事行動をアメリカが悪いからだと責任転嫁している。どこをどう解釈すればロシア軍の行動を正当化出来るのか理解に苦しむ。仏子たるもの侵略軍を支持するなんてあってはならない。