職業差別反対
ウクライナのゼレンスキー大統領の元職がコメディアンだとして、馬鹿にする差別主義者が散見されるが、コメディアンで何が悪いのか?実に馬鹿馬鹿しい話だ。少なくとも今のところは彼は立派な大統領だ。敬意に値する。もし元職を批判するなら国民を監視し場合によっては暗殺までする秘密警察出身のプーチンをこそ批判すべきだ。秘密警察や反社会組織のような人道に反する職業でもない限りは、職業全体を差別してはいけない。
軍人も日本では差別されがちな職業だが、彼らは平和を守る尊い仕事をしている。世界的には軍人は尊敬される事が多い。世界の中で日本ほど軍人が蔑まれる国も珍しいだろう。今現在、侵略行為を働いているロシア兵も軍人だが彼らは独裁者プーチンの命令を受けているのであり個々人にその責任は無い。独裁制がいけないのは軍が平和維持という本来の目的とは真逆の機能をもつこともその理由の一つだ。
他に職業差別といえば遊女に対するものなどが根強いがこの是否はどうだろうか?仏教の話で言えば、お釈迦様の弟子に元遊女がいたのは有名な話だ。仏教では遊女出身だからと言って差別されることはない。戒律もあるので遊女のまま出家することは出来ないものの、これは他の職業でも同じ事だ。なお、お釈迦様在世の頃の人気の遊女はかなりの財産を築いており僧侶の集まりであるサンガに土地の寄進も出来た事を考えると、社会的な地位も低くはなかったのは間違いない。
日本の仏教と遊女にまつわる話では、法然上人が流刑先に向かっている途中で遊女を教化したものがある。この遊女達は阿弥陀仏のお救いにあうが、この話では法然上人も遊女達も遊女の仕事を賎業だとみなしており、少なくともこの頃には遊女に対する社会的な差別は存在したと思われる。同時期の話である平家物語でも、白拍子が有力武士の寵愛を受ける話が見受けられるが遊女と同じく社会的立場は弱いものだった。
現代の日本を含め、売春行為が違法の国々では売春婦は違法な存在であり差別というよりは公的な取り締まりの対象だ。しかし、合法な範囲の性風俗産業や接待を伴う飲食業の従業員である、いわゆる夜職で働く女性達にも根強い差別が残っている。これは夜職自体を賎業と考える人達による差別の他、この手の職業を女性差別や搾取の象徴と考える人達からも迫害を受ける場合があり構造は複雑だ。前者は論外だとして、後者の立場でも夜職の従業員を叩くよりは代替の仕事を提供するなど現実的な対応をした方が彼女らから反感を買わずに済むと思う。また、夜職の従業員は別に女性だけでなく男性もおり同様の差別は受けがちにも関わらず、女性と比べて深刻に捉えられないのも問題だ。
ヤクザなどの反社会的勢力や非合法の仕事は別として、合法な仕事で社会の秩序を乱すのでなければ職業の内容によって差別をするのは間違っている。個人的な思想で特定の職業は無くなるべきだと考える場合でも、その仕事に従事する個人を差別迫害するのはいけない。特に大乗仏教においては在家でも菩薩行をつむので、どんな仕事であっても他人の幸せに貢献することは出来る。職業に貴賤などない。
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