SDGs ゴール17 パートナーシップで目標を達成しよう(後編)

中編からの続き

 ターゲット17.13は「政策協調や政策の首尾一貫性などを通じて、世界的なマクロ経済の安定を促進する」だ。新型コロナウイルスの流行により経済に混乱が生じた時に、各国は金融緩和などで対応をした例などがある。一方で、戦争で経済的な混乱を引き起こす独裁国もありどう対処していくかは今後の課題だろう。

 ターゲット17.14は「持続可能な開発のための政策の一貫性を強化する」だ。持続可能な開発は様々な分野が協調してこそ可能となる。 

 ターゲット17.15は「貧困撲滅と持続可能な開発のための政策の確立・実施にあたっては、各国の政策空間及びリーダーシップを尊重する」だ。開発途上国への支援でありがちなのは、支援を通じてその国を牛耳ってしまうことを目指したかのような例も散見される。過剰融資によって国中を債務漬けにする手法はしばしば問題視されている。

 ターゲット17.16は「全ての国々、特に開発途上国での持続可能な開発目標の達成を支援すべく、知識、専門的知見、技術及び資金源を動員、共有するマルチステークホルダー・パートナーシップによって補完しつつ、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを強化する」だ。環境問題や人権問題は国境を超えた問題であり、そうした問題に対処する能力に乏しい国には支援が必要だ。

 ターゲット17.17は「さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する」だ。日本ではネオリベラリストらの跋扈により、すっかり公務員は悪と無駄の象徴にされてしまったが、利害に縛られずやるべきことをやる公正さは営利企業には維持し難く、格差の是正の面でも重要な役目を果たしている。経済の主役である民間企業との協調は必要不可欠だが、公務員が営利企業の真似事をしても意味はない。

 ターゲット17.18は「後発開発途上国及び小島嶼開発途上国を含む開発途上国に対する能力構築支援を強化し、所得、性別、年齢、人種、民族、居住資格、障害、地理的位置及びその他各国事情に関連する特性別の質が高く、タイムリーかつ信頼性のある非集計型データの入手可能性を向上させる」だ。 データは集計されてしまうと実態を反映しないこともある。例えば、とある草野球チームの平均年収は、チームにビル・ゲイツを一人を送り込めば著しく上がってしまうだろう。こうした事態を避けるために質の高い個別のデータを利用できるにする必要がある。

 ターゲット17.19は「2030年までに、持続可能な開発の進捗状況を測るGDP以外の尺度を開発する既存の取組を更に前進させ、開発途上国における統計に関する能力構築を支援する」だ。GDPはその国の経済力を測る上で有用な指標ではあるが、極端な格差があっても増加しうる。貧困の撲滅や人権の保護を訴えるSDGsの達成を測る指標としては不足だ。

 不十分ではあるがこれで、ざっとSDGsを俯瞰したこととなる。SDGsの解説については他に良いサイトはいくらでもあるが、あえて自分もしてみることで、それぞれのターゲットを再確認できた。はじめに言った通り、SDGsの批判者や推進していると主張する人にもSDGsのことを著しく誤解している人が多い。まず、SDGsは持続可能な開発が目的であり、環境のために人間は不自由をして死ねなどという一部の環境テロリストの主張とは違う。また、SDGsを殊更に批判する地球温暖化を否定する陰謀論者や、社会の構造的な差別を受けている人達を攻撃するレイシストたちが、人類の持続可能性に有害であるのは明白だ。さらに、なんとなく良い事をSDGsだと思っている人も多いが、SDGsは基本的にグローバリズムに近いので弊害もある。その弊害を考慮しても、人類が今後も持続可能な開発を続ける上で目指さざるを得ない目標がSDGsだ。

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