宝誌和尚立像
京都の西往寺所蔵で京都国立博物館に寄託されている宝誌和尚立像は、映画トータルリコールのように顔が左右に割れ中央部に真の顔が出現するという面白い構図となっています。この像は平安時代の木造で、蓮台に立ち、右に施無畏印、左手の薬壺を持っています。中の顔は(十一面)観音菩薩のものとされており、宝誌和尚が観音菩薩の化身であるとの伝説に由来します。
宝誌和尚は南朝宗〜斉〜梁の時代、5世紀から6世紀前半に漢土に実在した僧で、奇異な行動や予言などの神異で有名となり梁の武帝の尊崇を受けていました。日本でも宇治拾遺物語に、宝誌和尚の肖像を残そうと帝に遣わされた絵師の前で和尚は真の姿を示すと言って親指の爪で額の皮を割き中から金色に輝く菩薩の面相が表れたと伝えられ、西往寺所蔵の宝誌和尚立像のモデルとなる逸話が伝えられています。
宝誌和尚は何か仏教史に残るような事をした訳ではありませんが、その特異な行動が注目を集め、観音信仰と結びついたことにより今に残っているものと思われます。観音菩薩はさまざまな姿に変化していろんな立場の人を救うと伝えられており、ダライ・ラマ法皇や聖徳太子や親鸞上人など多くの人がその化身だとされています。もしかしたら、あなたの隣にいる人も観音菩薩かも知れませんね。
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