涅槃会

 新旧の暦の問題もありますが、本日新暦2月15日を涅槃会としているお寺が多いかと思います。涅槃会の意義は各宗派でいささかの違いもあります。しかし、お釈迦様の命日に際しその遺徳を偲ぶ報恩の気持ちは同じでしょう。

 さて、お釈迦様は遺言として何を残したのかは、複数の涅槃経や法華経などにより様々です。

 例えば法華経では、お釈迦様がお亡くなりになったのは方便であって、お釈迦様は久遠の昔から仏陀であり、この世こそがその仏国土であるとされています。この影響で、日蓮宗の信者は自らがこの世を仏国土たらしめるために働く菩薩であるという認識があるので、涅槃会は菩薩としての意気を新たにする日でもあります。また翌日が日蓮聖人の誕生日なので2日連続での大きな行事となります。

 また、禅宗系はお釈迦様の遺言として遺教経を重視しています。遺教経の内容は過去の記事を参照いただくことにして、この遺言を一言でまとめると「修行をガンバレ」です。だから、気持ちを新たに修行に励もうと誓う日でもあります。部派仏教の涅槃経に近い感じの遺言だと言えます。

 浄土教系は阿弥陀如来が中心ですが、お釈迦様は生前に阿弥陀如来に頼むように自ら率先して衆生に説いたとされています。阿弥陀如来が招く方に正しく行くように指導してくれたのですから、お釈迦様は浄土教系諸派でも尊重されています。基本的には浄土宗系寺院では涅槃会を行いますし、真宗系でも涅槃会を行うお寺はあります。涅槃会は念仏の縁に改めて感謝する日でもあります。

 真言宗では涅槃会は常楽会と呼ばれます。諸行無常と一切皆苦の世界からお釈迦様が離れ常で楽な涅槃に達したので常楽会です。ネーミングからして密教としての目標を分かりやすく掲げており、日々の修行の励みとなる日でしょう。

 これら四宗融合を旨とする天台宗も土台は法華経なので、皆が一隅を照らし良い世の中にしていく決意を新たにする日でもあるでしょう。

 全体的にはお釈迦様の遺言に従って修行頑張ろう記念日のような感じの涅槃会です。精進して参りましょう。

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