遺教経

 お釈迦様が入滅される前、最後に説いたとされる教えが遺教経として伝わっています。遺教経は出家者に語りかける形式を取っています。内容を要約すると、戒律を守り、物欲と心を制し、食事は必要最小限とし、休む事なく努力を続け自省をし、決して怒らず、驕りたかぶることもなく、媚びへつらうこともなく、欲を少なくして、満足することを知り、騒がしい世間から離れ静かなところで修行し、徹底的に精進し、正しい教えを守り、禅定の修行で集中を保ち得られた智慧を散逸させず、こうして智慧を得れば貪り執着することも無くなる。更に考えても無駄な事に心を煩わせる事なく、怠ける事なく、四諦の教え(※)を守り、自分の死を悲しまず教えを伝え修行に励むように、と説かれています。

 このように遺教経では繰り返し努力するように説かれており、また、世俗を離れ自己の悟りを目指す修行するようにと説かれています。この経の実際の成立時期がいつかは分りませんが、概ね初期仏教の理念を伝えていると言えます。大乗仏教でも禅宗系の仏教は個人の修行が基本なので、遺教経も重視されています。

 人生でなにかをなそうとすれば、やはり努力は必要です。お釈迦様が入滅したと言われる2500年前も現代も違いはありません。


(※)この世の全ては苦であり、苦の原因は煩悩で、煩悩を滅すれば苦も無くなり、煩悩を滅し苦を除く為には八正道と言う修行があるとする仏教の基本的な教理。

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