カルトの新戦略

 カルトの「新」戦略というほどは新しい話でもないが、オウム真理教やそれより以前のカルト教団の「古い」戦略では、敵対者に対してはしばしばそれと分かる形での脅迫や暴力行為が行われてきた。それをみて恐怖する人達をも黙らせようという魂胆だ。しかし、現代の「新」戦略ではあからさまな暴力行為や集団的な示威行為はほとんど行われない。その代わりに何かしらの権限をもつ少数の人間を、買収するか敵対した場合の被害をほのめかすことで社会的な実利を得ている。

 先日カルトを批判した漫画が突然の打ち切りと公開の停止の処分となったが、それに至るまでにほとんどカルト教団からの宣伝は無かった。静かに突然、漫画の編集部が折れたのだ。

 また、保守系の社会活動家にもカルトは根深く浸透している。自前の雑誌やメディアに有名な論客や政治家を登場させ、カルトの望む事を言わせる。雇われた彼ら自身は信者では無くても、宣伝効果は高い。

 小生が関わってきた東トルキスタン(ウイグル)の問題に関してもカルトの浸透は著しい。ウイグル人を対象とした臓器売買目的の共産党による組織的大量殺人が暴かれた件に関しては、某カルト教団の調査能力による所は大きくその功績は無視できない。だが、彼らは先のアメリカ大統領選挙に際してトランプ候補を支持するデマの宣伝機関と化していたし、コロナウイルスに関する陰謀論も散々吹聴していた。また、教団の名前を伏せて人権問題についての集会を開いておいて、参加者との仲を良くしたところでやおら布教を始めるという古典的だが有効な手段を用いていた。ウイグル問題に積極的に関わるカルト教団は日本では主に2つあり、末端までかなり広範囲が汚染されている。こうした事実により、一般人が積極的には活動に参加しづらい雰囲気があるのは残念だ。嘘だと思われる方は、ウイグル問題に積極的な保守系の論客のTwitterなどを確認してみるといい。その大半がカルト教団と同じく新型コロナウイルスやトランプ前米大統領に関する陰謀論を主張をしているのが分かるだろう。もちろん単に陰謀論を信じている可能性はあるが、日本国民の大半がバイデン大統領が正当だと思い、新型コロナウイルスのワクチン接種をして感染対策をする中で彼らの思想の偏りは明らかに不自然だ。

 ちなみにカルトがターゲットとするのは基本的に保守派だ。カルト側からみても宗教を否定する共産主義は相性が悪いからだ。しかし、真の保守派ならば、伝統的宗派をこそ大事にして怪しげなカルトに騙されることはあってはならないはずだ。きっと商売で保守をやっている人の方が多いのだろう。しかし、思想の左右に関わらずカルト教団は治安と秩序に対する脅威であり看過できない。伝統宗派を尊重する仏教者としては、まずは各自の家の墓があるお寺を大事にするようにお願いしたいところだ。

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