右翼による皇族バッシングの特徴
皇族バッシングと言うと左翼の専売特許かのように思われがちだがそうでもない。不敬罪があった戦中・戦前においてもハト派の昭和天皇に対するタカ派からの批判はあった程だ。
ただ、もちろん日頃の皇室、皇族への攻撃は左翼が中心だ。左翼の多くは天皇家そのものの廃絶を画策しており、皇族方を模した人形を死刑にしたり、ポルノ画像と合成するなどの脅迫・名誉毀損などを繰り返し、直接命を狙ったり危害を加えようとした事件もあった。日本国憲法を無視して天皇家を廃しようとする勢力の多くが護憲を叫ぶのはなんともおかしな話だ。日本国憲法では天皇は日本の象徴であり、伊勢系の神道の理念からしても天皇と日本は同一とみなせる。左翼こそが改憲を訴えるべきではないだろうか?
一方で、皇室を擁護する立場にあると思われがちな右翼も戦中の天皇批判の一部にもあるように皇族をバッシングすることがある。近年に至っては皇族バッシングの勢力としての右翼は左翼をうわまらんばかりの勢いだ。右翼の皇室バッシングにはある種の特徴がある。それは平民の血を引く女性皇族が主な攻撃対象であり、その中で最も目立ち立場の弱い女性が叩かれる。だから、一時は苛烈な勢いで叩かれた女性皇族がその後、同じ人達によって崇め奉られたり、一度は礼賛しておいてから特に証拠もなく徹底的に叩くなどの怪現象まで起きる。要は理念も筋も無い弱いものイジメだ。しかも、攻撃対象が変わっても途切れなく叩かれ続けられる特徴もある。過去を振り返ってみよう。
まずは戦争の記憶も鮮明だった1958年、現上皇陛下が皇太子時代に正田美智子さんとの婚約が発表されるや、平民が将来の皇后になるのかとして、主に右翼勢力による常軌を逸したバッシングが行われた。また平民が気に入らない右翼勢力だけでなく、左翼勢力からも美智子様がブルジョアの出であることが攻撃の材料とされたが、驚くべきことに右翼勢力もこれに乗っかり母方の祖父の会社が起こした公害と美智子様を無理やり関連付けて叩く者までいた。こうして今では国母とまで仰がれる美智子様も上皇陛下との成婚後30年以上に渡り、罵詈雑言と誹謗中傷を浴びせかけられ続け心労から声が出なくなることまであった。そんな中でも美智子様は公務をこなされていき、徐々に国民の支持を得ていった。また、1995年の阪神淡路大震災や2011年の東日本大震災などでは、陛下とともに被災地を見舞われ直接被災者のために尽くされた献身的行為が国民の感動を呼んだ。
さて、こうして美智子様への非人道的なバッシングが収まりいくのと入れ替わるようにバッシングの対象となったのは現皇后の雅子様だ。1993年に今上陛下が皇太子の時にご結婚された雅子様だが、当初は祝意の方が多かった世論も徐々に攻撃的になっていった。雅子様は外務省出身であり父親も国連大使、外務事務次官、国際司法裁判所所長などを歴任しているが、比較的リベラル色が強かったことから右翼からのバッシング対象となった。右翼勢力は雅子様が男子を出産出来なかったことも執拗に攻撃し、2004年には当時皇太子だった今上陛下が周囲の雅子様に対する人格攻撃に苦言を呈したいわゆる「人格否定発言」が発表された。だかそれでも右翼勢力の陰湿な雅子様イジメは収まらず、当時まだ幼かった娘の愛子様にまで個人攻撃が始まった。このショックの為に、皇后陛下の精神は病み未だに全快には至っていない。実においたわしいことだ。そもそも、皇室に弓を引きながら愛国だ皇弥栄などという事に矛盾は感じないのだろうか?一連の右翼のバッシングは皇太子時代の今上陛下にも及び、男子のいる秋篠宮家を立てて東宮を廃嫡すべしなどという気の狂ったことをいう自称愛国者までいた。
ところが、今上陛下が即位なされると一気に雅子様や愛子様へのバッシングは沈静化していった。さすがの右翼勢力も天皇皇后両陛下を攻撃するわけにはいかなかったのだろう。変わってバッシング対象となったのは秋篠宮家だ。実は平成の後期から、秋篠宮家の真偽定かでない醜聞が次々に一部のマスコミを賑わせた。これまでの歴史を考えれば恐らく悪質なデマであろうが、その主な標的は秋篠宮妃紀子様だった。しかし、その娘である眞子さまが、社会的に問題があると噂される人間と結婚しそうになると、バッシングの矛先はほぼ全て眞子さまに向かっていった。だが仮に疑惑が真実だったとしても、それを理由に畏れ多くも内親王殿下を罵倒するなどあってはならない。そもそも、いつの間に右翼勢力は皇族方の家庭の問題に口出しできるまで偉くなったのだ?全くもって不敬、全くもって不遜だ。なお、当たり前だが皇族でない一般家庭であっても他家の問題に口出ししないのが礼儀だ。右翼は常識が欠落しているらしい。
このように右翼による皇族バッシングの特徴から考えれば、眞子さまが皇籍から外れた今、次のターゲットは恐らく佳子さまだろう。国民に強く反論しづらい皇族を狙ったイジメはやめさせねばならない。皇族は右翼のサンドバッグになる為に存在しているのではない。皇弥栄。
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