SDGs ゴール1貧困をなくそう
SDGsのゴール1は「貧困をなくそう」だ。一部の人達はSDGsを根拠にして、環境保全の為に人類は貧困を甘受せよと言うが、彼らの言説は初っ端から矛盾している。だいたい、貧困でもいいなどと言う人が実際に貧困を経験した可能性は限りなく低い。貧困がいかに惨めな状況か理解していればそんなことは言えない。貧困な状態では人はその能力を十分に活かせない。これはSDGsのゴール2,3,4である「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」「質の高い教育をみんなに」とも密接に関係している。貧困であれば、飢えて不健康で十分な教育が受けられずに貧困が再生産されるのだ。
だから貧困は根絶されねばならない。このゴール1は以下の7つのターゲット(1.1〜1.5と1.a、1.b)により構成されている。
1.1は「極度の貧困を終わらせる」というものだ。2011年の国際価格で1.9米ドル以下で1日過ごさなければならない人達が極度の貧困とされている。彼らを貧困から脱却させ、それを持続的にするためには貧困層を対象としたビジネスの構築も必要となる。いわゆるBOPビジネスと呼ばれるものは従来型の貧者への寄付や支援とは違い、貧困層を購買してもらうターゲットとして見ている。搾取にならないように、貧困層のためになる商品やサービスを提供することで自立を促す狙いもある。逆に、膨大な支援物資で地域が埋まれば、現地に仕事が生まれなくなる。支援される側もする側も損をしない枠組みであることが重要だ。
1.2は「(相対的にも)貧困状態にある人の割合を半減させる」というものだ。これは1.1のような絶対的な貧困ではなくても、各国や地域での収入の中央値の半分以下の人達などの相対的な貧困にも対応する必要があることを説いている。相対的貧困は少数の高所得層を多数の貧困層が支える構図で増加する。雇用側がみんなを最低賃金でこき使おうと思っていては達成できない目標だ。
1.3は「貧困層・脆弱層の人々を保護する」だ。これは社会保障制度の充実や、企業の年金や保険や労災対策なども含まれる。
1.4は「基礎的サービスへのアクセス、財産の所有・管理の権利、金融サービスや経済的資源の平等な権利を確保する」だ。ここで言う基礎的サービスとは、上下水道や電力や公共サービスなどを意味する。
1.5は「貧困層・脆弱層の人々の強靭性を構築する」だ。例えば、災害時などにすぐに全壊するような弱い建物にしか住めない水や食料の蓄えも無い人の方が、地震にも台風にも火災にも耐える頑丈で発電能力のある家に住み水や食料の備蓄が十分にある人よりも死にやすいのは間違いない。貧乏人は死にやすいのだ。
このターゲット1.1〜1.5までの数字で表されている物がゴールの中身であり、次の1.a、1.bなどのアルファベット示されているターゲットがゴールを達成する手段となっている。これはゴール1だけでなく、他のゴールでも同様だ。
1.aは「開発途上国の貧困対策に様々な資源を動員する」だ。SDGsは普遍性が原則の一つだ。国内だけ良ければいいわけではない。先進国が貧困者の多い途上国を助けるのは当然だろう。
1.bは「貧困撲滅への投資拡大を支援するために政策的枠組みを構築する」だ。これは1.aとも関連するが、単に貧困国に資源を投入するだけでは問題の本質的な解決にはならない。貧困国に経済開発あってこそのSDGsだ。貧困国に投資し仕事を作り経済を発展させて利潤を得ながら貧困を減らし、社会や環境に良い影響を与えるのが大事だ。そのような投資は社会的インパクト投資と呼ばれる。
SDGsの肝はここにある。SDGsは持続可能な開発目標なのだ。環境や人権を守りつつ経済を発展させ世界を良くするのが目的なのだから、貧困はなくさねばならない。
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