SDGs ゴール5 ジェンダー平等を実現しよう

 日本の評価が著しく低いのがSDGsゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」だ。ジェンダー平等の話をする時、フェミニスト過激派と極右が激しい戦いを繰り広げることが多いが、極端な話ばかりすると問題の本質が見えなくなる。彼らはともに反SDGs的存在だ。以下のゴール5のターゲットを知ればその理由は自明だろう。

 ゴール5はターゲット5.1〜5.6と5.a〜5.cの9つで構成されている。

 今回はターゲット5.1〜5.3をまとめて見てみよう。ターゲット5.1は「女性に対する差別をなくす」だ。ターゲット5.2は「女性に対する暴力をなくす」だ。ターゲット5.3は「女性に対する有害な慣行をなくす」だ。この3つのターゲットは全て「女性に対する〜をなくす」の形となっている。別に女性に対してで無くても、差別も暴力も有害な慣行もなくすべきだが、わざわざ女性に対するという文言が必要であるのは、実際に女性がこれらの被害者である事が有意に多いからに他ならない。ミソジニストらはこうした事実自体を否定して、あたかも女性の方が男性達を差別し迫害しているなどと訴えるが、その大半は極端な例を一般化する詭弁に過ぎない。

 ターゲット5.4は「無報酬の育児・介護・家事労働を認識、評価する」だ。単純に見れば専業主婦の地位向上に役立ちそうなこのターゲットだが、現代において専業主婦はまるでサンドバッグのような差別を受けている。一部フェミニスト過激派は専業主婦を男に媚びているとして蛇蝎のごとくに嫌うし、ウヨクも専業主婦を嫌う。ウヨク的には伝統的な専業主婦という女性の立場を支持すべきではと疑問に思うのだがまるで穀潰しのように叩く。彼らにとっては伝統を守るより女性を叩く事に興味があるようだ。思想的に保守でも右翼でもない。ターゲット5.4は共働きでもそうでなくても性別がどちらでも育児や家事や介護のための労働を評価すべきだというものだが、専業主婦や主夫への差別はやめて欲しいものだ。ちなみに専業主婦はSDGsのアクションを行っている率が勤労女性より高いという。決して一部の人が言うような極悪非道な人達ではないのは明らかだ。

 ターゲット5.5は「政治・経済・公共分野での意思決定において、女性の参画と平等なリーダーシップの機会を確保する」だ。これは明らかに他の先進国に比べて日本は劣っている。現状を見るに自然な改善はありえないので、国会や地方自治体の議員や会社の役員の最低3割は女性にするように法制化するなどのアファーマティブ・アクションに踏み込むべきだと思われる。

 ターゲット5.6は「性と生殖に関する健康と権利への普遍的アクセスを確保する」だ。昨今のアメリカ諸州で成立している絶対的堕胎禁止法は、母体の安全を無視した恐るべきものであり、ターゲット5.6に反する動きだ。また、日本の映画界でも監督がその権力を利用して多数の女性スタッフを強姦していたという不祥事が露見したばかりだ。世界は女性にとってまだまだ恐ろしい所だ。

 ターゲット5.aは「財産等への女性のアクセスについて改革する」だ。女性単独では金融サービスが利用しにくいという傾向は意外と多くの国で存在する。金融機関が性別で差別をしているという例もあるだろうが、女性が経済的に不安定な社会構造にあるのも大きな問題だと言える。経済的に不安定だと条件の良い融資が受けられず、法外な利率の消費者金融などに頼らざるを得なくなる。経済的に富む者が良い金融サービスを使って更に勝ち、貧乏人は更に不利な状況へと追い込まれる傾向があるのだから、女性というくくりで見て経済力が弱いと差別的境遇に陥る女性も増えることになる。金融機関への指導とともに女性の経済力の底上げが重要だろう。

 ターゲット5.bは「女性の能力を強化する(ICTなど実用技術)」だ。日本ではあまりピンと来ないかも知れないが、途上国などでは女性にはスマホなどの情報端末の所有率が低い地域もある。ICTなどの技術を利用できないと仕事にも不利なのは明らかであり、それによる格差拡大は防がねばならない。

 ターゲット5.cは「女性の能力強化のための政策・法規を導入・強化する」だ。女性はそもそもの教育の機会から構造的な差別により不利である場合が多くみられ、テコ入れが必要なのは言うまでもない。

 さて、これらのターゲットを見てきて気づくだろうが、SDGsゴール5のジェンダー平等はほぼ男女平等と同義だ。LGBTQ+の概念は直接的には論じられていない。しかし、SDGsの理念的にみて彼らは差別して良いということではないのは付言しておく。これは、ゴール10でも同様だ。

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