SDGs ゴール2 飢餓をゼロに

 空腹は良くない。じゃりン子チエのおばあはんのセリフでひもじい、寒い、もう死にたい、不幸はこの順番で来ますのや」というものがある。ひもじいのは不幸の始まりだ。

 そんな空腹だが世界の約1/4が食糧不安の状態にあり、世界人口の約1割の8億人が飢餓状態だと言われている。そんな飢餓を無くす目標がSDGsのゴール2「飢餓をゼロに」だ。

 ゴール1と同様にゴール2以下も複数のターゲットで構成されている。ターゲット2.1〜2.5がゴールの中身で、2.a〜2.cがゴールを達成する手段となる。

 ターゲット2.1は「飢餓を撲滅し、安全で栄養のある食事を得られるようにする」だ。実にわかりやすいターゲットだ。食糧生産を増やし、ロスを減らすのは喫緊の課題だろう。科学技術の発達でカビ毒などの混入が少ない安全で美味しい農産物が効率よく育てられるようになった。だが、嘆かわしいことに世の中には自然派などと呼ばれる農薬類を忌避する狂信的集団がいる。彼らは先進国においても不潔で生産効率が悪い農産物を生産している。彼らの嗜好はまだ良いとしても、可哀想なことにその子供らもそうしたおぞましい物を食べさせられている。彼らは彼らが使用する農地で本来なら生産できたハズの安全で生産効率の高い農産物が出来る機会を奪っており間接的に飢餓に苦しむ人を更に苦しめていると言える。

 ターゲット2.2は「栄養不良をなくし、妊婦や高齢者等の栄養ニーズに対処する」だ。等には子供らも含まれる。特に乳幼児の栄養状態は生存率やその後の発育にも影響を与える。ガーナで味の素社が官民連携事業として子供らにサプリメントを販売しているのも対策の一つだ。やはり科学技術を使った支援は効率が良い。

 ターゲット2.3は「小規模食糧生産者の農業生産性と所得を倍増させる」だ。持続可能性はSDGsの要だ。飢餓ゼロを目指すのだから生産者の安定が重要なのは言うまでもない。

 ターゲット2.4は「持続可能な食糧生産システムを確保し、強靭な農業を実践する」だ。これは農業技術だけでは改善しない。地球温暖化による影響も深刻だ。他のゴールと合わせて達成する必要がある。
 
 ターゲット2.5は「食料生産に関わる動植物の遺伝的多様性を維持し、遺伝資源等へのアクセスと、得られる利益を公正・衡平に配分する」だ。先日から続くロシア軍のウクライナ侵略でハルキウ(ハリコフ)の世界最大級のシードバンクが焼き払われたのは、世界にとって巨大な損失だった。世代を超え営々と築きあげられた人類の宝は、狂った独裁者の野望によりあっさり失われる。SDGsの道のりは険しい。

 ターゲット2.aは「開発途上国の農業生産能力向上のための投資を拡大する」だ。開発途上国の農業はまだまだ伸びしろが大きい。投資によるリターンも期待できるというものだ。だが、安心して投資するには現地の治安や政情の安定と平和が必要となる。問題は複合的だといえる。

 ターゲット2.bは「世界の農産物市場における貿易制限や歪みを是正・防止する」だ。コナコーヒーをご存知な方も多いだろう。アメリカ合衆国はハワイで採れるコーヒーだ。品質はよく美味だが高い。コナコーヒーが高額な主な理由は、アメリカ人が働いて作っているので人件費がしっかり払われているからだ。要は、開発途上国の異常に安価なコーヒーは、物価の差はあるにしても、現地の人の不当に廉価な労働で作られている場合も多いのだ。異常に安い農作物を買う場合は少し生産者のことも考えてみてほしい。フェアトレードによる製品の購入をお勧めする。

 ターゲット2.cは「食料市場の適正な機能を確保し、食料備蓄などの市場情報へのアクセスを容易にする」だ。ターゲット2.5でもあったが、ロシアの侵略により今年の食料市場は大変な混乱をきたしそうだ。既に多くの食品が値上がりしている。プーチンはSDGsの敵と言っても過言ではない。

 アンパンマンの作者やなせたかし先生は「ひもじい人を助けるのが正義」と言っていた。SDGsのゴール2はまさに正義の目標だと言える。

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