SDGs ゴール14 海の豊かさを守ろう
SDGsのゴール14は「海の豊かさを守ろう」だ。海洋に流出するマイクロプラスチックが問題視されている影響で、小売店のレジ袋が有料化されたり、ファストフード店などのプラスチック制のストローやスプーンなどが他の素材の変更されたりしたので印象に残っている人も多いだろう。マイクロプラスチックによる海洋汚染の最大の責任国は中国であり、生産量が多いこともさることながら、独裁国ならではの処理や管理の杜撰さも原因の一つだと言える。ただ、先進国でも厳密な管理は難しく、質の良い代替素材の開発が待たれる。
さてゴール14はもちろんマイクロプラスチック以外の問題も扱っている。SDGsは持続可能な開発目標なのだから、主たる目標は海洋資源の持続可能な利用であり、汚染の防止や多様性の維持はその手段となる。ゴール14は14.1〜14.7と14.a〜14.cの10のターゲットより構成されている。
ターゲット14.1は「海洋汚染を防止、削減する」だ。これは先述のマイクロプラスチックの他、種々の汚染物質や、富栄養化による被害も含まれる。
ターゲット14.2は「海岸・沿岸の生態系を回復させる」だ。海辺にお住まいの人なら磯焼けを見たことがあるかも知れない。まさしく海の砂漠化だ。磯焼け自体は必ずしも人為的な原因で起きるとは限らないが、わざわざ磯焼けや環境破壊を起こしそうな行為をする必要もない。陸上からの沿岸に流れる栄養が極度に増えたり減ったり、有害物質を放出したりしないように注意が必要だ。
ターゲット14.3は「海洋酸性化の影響を最小限化する」だ。海洋酸性化とは主に人類の活動による二酸化炭素の影響で海が酸性化することだ。薄い炭酸水になると思って貰えれば良い。アクアリウムを持っている方なら分かるだろうが、水のちょっとした変化で死んでしまう生物も多い。今のような過剰な二酸化炭素の放出は抑えるべきだ。
ターゲット14.4は「漁獲を規制し、不適切な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する」だ。一時的な利益を狙った水産物の乱獲は、結果として大希望な資源の減少を招き、生態系にも影響し更に被害が拡大しうる。回遊魚には国境は関係ないので、国際的な協力体制が求められる。
ターゲット14.5は「少なくとも沿岸域及び海域の10%を保全する」だ。生物多様性の観点から重要な海域の少なくとも10%を保護し資源の回復にあてるものだ。指定された地域は漁業を禁止し汚染されないようにする必要がある。
ターゲット14.6は「不適切な漁獲につながる補助金を禁止・撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制する」だ。密猟や禁止漁具の使用や乱獲を促す補助金の停止が必要であり、しっかりとした報告と監視体制が必要となる。
ターゲット14.7は「漁業、水産養殖、観光の持続可能な管理などを通じ、開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる」だ。特に島嶼国においては海洋資源が持続不可能になるのは存亡の危機だ。
ターゲット14.aは「海洋の健全性の改善と、海洋生物多様性の向上のために、海洋技術の移転を行う」だ。海はつながっており、世界的な対策の実施が必要となる。技術がない国には指導が必要だ。
ターゲット14.bは「小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源および市場へのアクセスを提供する」だ。知識や技術をもつ集団だけが漁業市場を独占しては、漁業者の貧富の差は拡大するばかりでSDGsゴール1の貧困をなくそうという目標に反する。
ターゲット14.cは「国際法を実施することにより、海洋および海洋資源の保全および持続可能な利用を強化する」だ。これは2012年6月に開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20)の最終日に発表された成果文書「我々の求める未来」の海洋関連部分のパラグラフ158を想起されている。要約すると海が地球の生態系を維持する上で極めて重要であると認識し、国際法が提供する海洋保全および持続可能な利用のための法的枠組みを利用し、SDGsの諸目的に対処するために、海洋および海洋生態系のを保護・回復させ、生物多様性を維持し持続可能な利用を可能とする約束だ。
海は一つなのだから国際法による世界の協調は必要不可欠と言える。
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