SDGs ゴール17 パートナーシップで目標を達成しよう(前編)
SDGsゴール17は、持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化することだ。これまでのゴールを達成するために世界中が連携しましょうということになる。
そんなゴール17は17.1〜17.19の19のターゲットで構成されている。今回はターゲットも多く、内容も濃いので分割する。
ターゲット17.1は「税及びその他の歳入を集める能力の向上のため、開発途上国への国際的な支援なども通じて、国内資源の動員を強化する」だ。これは先進国が国内に重税を課して開発途上国を支援しようと言っているようにも見えるが、間接税の税率を上げれば消費は滞り景気も悪化して税収が減るのは明白であり、単に増税すれば良いのではないことも明白だ。外務省は原文の” to improve domestic capacity for tax and other revenue collection”の部分を「課税及び徴税能力の向上のため」と訳しているが、やや財務省の影が見える。ターゲット17.1の評価には国の予算のうち税金が占める割合も含まれており、国債の比率が高い日本の政府は国債発行を減らし課税を増やしたい意図もあるのだろうが、どうせインフレが進めば借金は目減りするのだから、じゃぶじゃぶ国債を発行すればいいのだ。景気の加熱を心配して増税するのを不景気の時にやる意味は無い。さて、日本の話はともかく、SDGsでは国家の連帯による世界規模の努力や私企業への世界的な統制は不可欠であり、基本的には大きな政府を目指している。これはネオリベラリストや陰謀論者がSDGsを嫌う理由の一つでもあるだろう。
ターゲット17.2は「先進国は、開発途上国に対するODA(政府開発援助)をGNI(国民総所得)比0.7%に、後発開発途上国に対するODAをGNI比0.15~0.20%にするという目標を達成するとの多くの国によるコミットメントを含むODAに係るコミットメントを完全に実施する。ODA供与国が、少なくともGNI比0.20%のODAを後発開発途上国に供与するという目標の設定を検討することを奨励する」だ。国民総所得(GNI)とは国内総生産(GDP)に国内外への資金の流れを加えたものとなる。だからGDPが高い国でも国外へ膨大な富の流出が起きていればGNIは下がるし、GDPが低くても国外から巨額の富が流入すればGNIは上がる。日本ではODAのトータルで対GNI比0.20%程となっているが、2020年は0.31%だった。2020年のデータで世界的に見て0.7%を達成してる国はスウェーデン、ノルウェー、ルクセンブルク、デンマーク、ドイツ、イギリスの6カ国しかない。ターゲット17.2は世界的な富の再分配と言える。
ターゲット17.3は「複数の財源から、開発途上国のための追加的資金源を動員する」だ。これには、以前述べた社会的インパクト投資なども含まれる。営利企業などにも協力させる為の枠組みが必要となる。
ターゲット17.4は「必要に応じた負債による資金調達、債務救済及び債務再編の促進を目的とした協調的な政策により、開発途上国の長期的な債務の持続可能性の実現を支援し、重債務貧困国(HIPC)の対外債務への対応により債務リスクを軽減する」だ。要するに開発途上国の債務に対して、債権国は手心を加えよということだ。
ターゲット17.5は「後発開発途上国のための投資促進枠組みを導入及び実施する」だ。SDGsにおいて後発開発途上国への支援は最優先だ。貧乏だと人権や環境にも無頓着となる。これまでの各ゴールのターゲットの.以下がアルファベット小文字の物もほぼ開発途上国に関する物だったのはそういうことだ。
(続く)
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