SDGs ゴール16 平和と公正をすべての人に

 平和でなければ持続可能な開発などありはしない。公正でなければ「誰ひとり取り残さない」というSDGsの理念に反する。

 さて、SDGsのゴール16は16.1〜16.10と16.a、16.bの12のターゲットよりなるが、これらは基本的には個人や犯罪組織ないしはテロ組織に関する暴力やそれにより乱される平和や不正をどうにかしようとする物だ。政治的にわざと曖昧にした可能性はあるが、大国の正規軍どうしが全面戦争をするなどという異常な事態はSDGs策定当時はあまり現実味のある話ではなかったのだろう。SDGsの期限である2030年を過ぎれば、この理念を継ぐ新たな国際的な目標が設定されるだろうが、その際に世界はどうなっているのか?戦争を現実的なリスクとして対応する何かしらの目標が設定されるのか気になるところだ。とはいえ、ゴール16の各ターゲットは戦争の有無に関わらず達成されるべきものだ。

 ターゲット16.1は「暴力および暴力による死亡を減らす」だ。銃規制がザルのアメリカでは、多くの市民が毎日銃撃で死亡する。愚かなことだ。一方で、中国では国家が主体的に占領地の異民族を絶滅させようとしている。残念ながら世界は暴力に満ちているから、こういう目標が立てられるのだ。

 ターゲット16.2は「子供に対する虐待や暴力・拷問をなくす」だ。子供は脆弱だ。親や法の保護がなければ、悪意を持った人間の暴力により支配される。加害する大人は厳しく処断すべきだし、子供用の保護施設の充実も図るべきだ。

 ターゲット16.3は「司法への平等なアクセスを提供する」だ。権力者が市民の大量虐殺をやっても捕まらず、一般市民は突然捕まり裁判もなく殺されたり労働改造所に送られるような独裁国は存在してはならない。

 ターゲット16.4は「違法な資金及び武器の取引を大幅に減少させ、奪われた財産の回復及び返還を強化し、あらゆる形態の組織犯罪を根絶する」だ。犯罪組織を舐めてはいけない。メキシコなどは内戦に等しい状況だ。ああなる前に芽は確実に摘んでおく必要がある。暴力団やテロ組織は撲滅あるのみだ。

 ターゲット16.5は「汚職や贈賄を大幅に減少させる」だ。人間が凡夫である以上、完全に汚職や贈賄を防ぐことは出来ないが、権力構造が固定して絶対的である独裁国の方が汚職は生じやすい。なお、独裁国ではみんなが贈収賄をするから、トラブルがあるとそれを理由に粛清される。

 ターゲット16.6は「有効で説明責任のある透明性の高い公共機関を発展させる」だ。透明性が高ければ汚職も生じにくい。これも独裁国では難しい。世界的にファシスト達がSDGsを嫌うのはこのせいかも知れない。

 ターゲット16.7は「対応的、包摂的、参加型及び代表的な意思決定を確保する」だ。例えば議会や企業の経営陣に著しく女性の割合が少なければ包摂的とは言えない。一部の属性の人が他を支配するなどということはあってはならない。

 ターゲット16.8は「グローバル・ガバナンス機関への開発途上国の参加を拡大・強化する」だ。一般的に開発途上国の治安は悪い。独裁的な国が多いし、犯罪組織による政治介入も横行している。開発のためには大変非効率的であり、こうした不公正を是正しないと社会的な弱者はいつまでも搾取され続ける。国際的な指導が必要だ。

 ターゲット16.9は「すべての人に出生登録を含む身分証明を提供する」だ。国家の管理から外れ身分が証明できない者は、奴隷として売買されたりもする。教育も受けづらいし、法的な権利もあやふやとなってしまう。

 ターゲット16.10は「国内法規及び国際協定に従い、情報への公共アクセスを確保し、基本的自由を保障する」だ。ジャーナリストらを大量逮捕する国もあり、どうにかしなければならない。

 ターゲット16.aは「特に開発途上国において、暴力の防止とテロリズム・犯罪の撲滅に関するあらゆるレベルでの能力構築のため、国際協力などを通じて関連国家機関を強化する」だ。開発途上国は犯罪組織やテロ集団の根城となりがちだし、色々と弱すぎて独自の対応も難しい。国際的な支援は必須だろう。

 ターゲット16.bは「持続可能な開発のための非差別的な法規及び政策を推進し、実施する」だ。アメリカや日本や欧州にも、差別やヘイトスピーチも表現の自由の範疇だなどと言う輩が散見されるが、不当に人々を差別する自由などありはしない。

 こうしてゴール16を見ると本当にファシズム叩きが主であり、いいぞもっとやれ。

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