プロゲーマーによる障害者への侮辱発言

 戦争ゲームを見せ物にすることでお金を稼ぐSaRaなる芸名のプロゲーマーが、そのゲーム動画の実況配信中に障害者を侮辱する発言をしたと話題になっている。その時の動画を確認すると、ゲーム中に安全そうな場所に敵がいないかわざわざ確認したプレイヤーに対して「障害者やろ、マジで」と暴言を吐いている。

 ネット上では10年くらい前から知的障害児を揶揄するガイジという言葉が流行っていた。ガイジという言葉は批判する相手が実際の知的障害児でなく、単に嫌いな相手が何かしら失敗をした時に使われることも多かったので今回の用法と似てはいる。この言葉に対する批判は強く近年ではあまり聞かれなくなったが、障害児という単語を直接的に相手を馬鹿にするために使うのが憚れるのでガイジと隠語風にして言っていたのだと考えると、障害者という単語を直接的に相手を馬鹿にするために使った今回の発言の異常性が際立つ。世界に向けて配信している仕事の動画で差別発言をするのだから、逆にSaRa氏の社会的常識の認識の方が気になるところではある。

 障害者を障がい者や障碍者と記載することもある。害の文字の印象が良く無いからとのことで地方自治体などが採用している場合が多い。一方で、一部の障害者団体などは、障害とは社会の側にある差別の問題であり害の文字を隠すことで問題の本質を分かりにくくするから障害者で良いとする意見も出ている。なお、政府や中央省庁の使用する書類では今でも障害者の表記だ。障害者差別は単に個人の問題ではなく、差別の構造を内包する社会の問題だとも言える。

 差別主義者は、自分や家族や友人もある日突然に障害者となる可能性があることを思い出すべきだ。福祉や医療の整った安心できる社会の構築のためにも、障害者に対する根深い差別意識は取り除いていく必要がある。

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