菩薩の目標
菩薩行に励む者は一見すると到達不能そうな目標を達成するために日々精進している。全ての生き物を救い、全ての煩悩を断ち、全ての教えを学び、仏道を成就される。冷静に理性的に考えれば明らかに到達不能な目標だ。だが、菩薩たらんとする者はその目標に一切の妥協も加えない。結果が出ないと絶望もしない。何度失敗しようが精進をやめない。
仏と同等でありながらあえて菩薩の位にとどまり人々の救済を続ける観音菩薩は、仏教者の理想像であり、自らもかくありたいと願う存在であり、絶対の信頼を寄せる帰依の対象でもある。
偉大な宗教家は、後の世で観音菩薩の化身であるとみなされることもある。聖徳太子は救世観音菩薩とされていて信仰の対象だし、親鸞聖人の妻である恵信尼は夫が観音菩薩だったという夢を見たとも伝わっている。
観音菩薩だけでなく、日蓮聖人は上行菩薩であったと信じられているし、聖人自身もその自覚を持っていたという。
このような高名な菩薩やその化身でなくても、大乗仏教の信者も菩薩の末席にいるといえる。偉大な先輩たちに恥じぬように心がけたいものだ。
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