人語を話すヒグマ
人気のない夜道を歩く女性に走って逃げられた事はある男性は多いだろう。殆どの場合、男性はただ歩いていただけで何もしていないしする気もない。そうした経験をした男性が、自分を犯罪者のように見るとはなんて失礼な女だなどと言う例もあるが、別に失礼でもなんでもなく当然の事だ。
確かに殆どの男性は人気のない夜道で女性が歩いていても何もするまい。だが少数は違う。平均的な体力差であれば、目撃者がいない状態で男性が女性を殴り倒し金品を奪ったり、著しくは誘拐、強姦、殺害することはたやすい。夜道で後ろに見知らぬ男性がいた時に、走って逃げる女性がいても別に責められるべき話ではない。
治安が良くなった現代ではそうでもないが、昔は女子が夜一人で出歩かないように教育されたものだ。なるほど安全確保のためには必要な処置だが、女性の自由は制限される事になる。
先日も、女性が一人で切り盛りする小さな店に、男性が居座りブツブツ独り言を呟きながら他の客に迷惑をかけた上に、店主が迷惑を指摘すると激昂してその後も嫌がらせを続けるという事件があった。このような事例は厳しく取り締まらないと、女性はおちおち起業も出来ない。この時も、この男性はあたかも自分が怖い人間であるかのように扱われたことに不満を表明していたが、普通に怖い。
騒ぎすぎだと言う男性は、自分の生活環境に突然、人語を話すヒグマが現れたと思えばいい。職場を唸り声を上げながら徘徊するヒグマに勇気を出してお引き取り願うあなたは、ヒグマから自分が何かするとでも思っているのかと恫喝され、その後もつけ狙われるのだ。弱者への配慮を失った強者は存在自体が既に暴力だ。知識の面でも体力の面でも強者には高い倫理性が要求される。弱者を恫喝し搾取をする自由は表現や言論の自由ではない。
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