邦画界の暴力
ここ2週間ほど邦画界の不祥事が次々と明るみに出ている。映画監督を頂点とした暴力と権力による職場の支配構造と、それを利用した女性への組織的な性的搾取と奴隷化が現代社会において当たり前のように行われていたという事実は驚愕に値する。
2017年に盛り上がった#MeToo運動は、日本にも波及したがこの時は、企業内のセクハラや個人の写真家などが糾弾されたものの、組織力が固い映画界は内部事情の隠蔽に成功した。
5年前でも、一般企業は実質的にどうかは別だがコンプライアンスの遵守が建前となっていたし、写真家など個人でやっている人は代わりがいたから比較的浄化しやすかったのだろう。しかし、高度に組織化されたムラ社会を形成している映画界では、内部の犯罪を暴露すれば明日から仕事が無くなるかも知れないし、直接的な暴力にさらされる恐れすらあった。
今、勇気をもってこの事を告発し始めた俳優やスタッフたちを世論が守らないと、映画業界はまた同じことを繰り返すだろうし、告発した被害者らは業界の裏切り者として攻撃されかねない。
ハラスメントが告発された時に、加害者を擁護し被害者を蔑む人達が大量に現れる。これはハラスメントは基本的に権力を持つ人が加害者であり、加害者が今後も安泰だと思う者がゴマをする為に加勢するから起きる現象だ。こういうゴマすり人間は逆に加害者の失脚が間違い無しとなると自分と加害者の関与を否定するために激しい攻撃を加害者に加える。大変に胸糞の悪い話だが、被害者を守るためにはゴマすり人間達に加害者は失脚するのだと信じてもらう必要がある。
こうしてハラスメント加害者が失脚すれば今後のハラスメントの予防にもつながるが、加害者が勝ってしまうと、これくらいのハラスメントは社会的に許容されるという悪い前例を作ってしまう。だから、決して今回の邦画界の暴虐は許してはならない。そうしなければ日本映画に明日は無い。
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