兼行六度

 法華経の分別功徳品第十七に以下の文言があります。

況復有人能持是経
兼行布施持戒忍辱精進一心智慧
其徳最勝無量無辺
譬如虚空東西南北四維上下無量無辺
是人功徳亦復如是無量無辺
疾至一切種智

 これを簡単に言うと法華経は受持するだけですごく功徳があるけど六波羅蜜も同時に修めるとものすごくよい、という意味です。要はちゃんと日常生活の中で仏道を実践しろよという事です。学んで知識として蓄えるだけでは単なる宗教学です。信じて実践するから宗教となるのです。大乗仏教では人に施し、節度を守り、怒らず、善い努力をし、心を集中させて、知恵を得るのが仏道修行の基本で、祈るだけでなくこれらを日々実践するのが重要なのです。これが兼行六度と言われるものです。

 苦しんでいる人々を物心ともに支えようとする言動があるから宗教は宗教たり得るのだと思います。お釈迦様が悟りを開いた直後は自分の考えを人に説こうとは考えておられませんでした。そこを梵天の願いを聞き入れ翻意されたという梵天勧請の話は有名です。この梵天勧請があったからこそ仏教は誕生したのです。考えているだけで何もしないのは仏教ではないと言っても過言ではないでしょう。

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