観光寺院

 檀家の布施で成り立つ一般のお寺と違い観光客からの収入も大きな財源となっている観光化された寺院は基本的にどの宗教、どの宗派の人でも参拝可能だ。もちろん観光地では無いお寺にわざわざ他宗派の人がお参りに行くこともあまりないが、それでも秘仏の開帳や寺宝の展示や有名人の墓参などで他宗派の人が訪れることもあるだろう。これらには参拝や学術研究の他に観光的な要素もいくらかはある。もちろん檀家や関係者以外の参拝や立ち入りを禁じている寺院もあるが知りうる範囲では少数派だ。

 こうした形態の差はあるが、今回のコロナ禍では観光化された寺院ほど収入減が著しいのは間違いない。観光化されているような大きな寺院では建物や寺宝の維持管理やそれを支える人材の確保に莫大な費用を要する場合が多いので今回のコロナ禍の影響が心配される。これまで長いところでは1400年以上もの間、色んな壁を乗り越えお寺に伝わる事物を受け継ぎ、人々がお参りしたくなるような魅力を維持し続けてきた歴史的な代々の努力は並大抵のものではない。その偉業に対し純粋に敬意を表し、今回も乗り越えられるように微力ながら協力したいものだ。
 
 寺院の観光化には否定的な意見を持つ人もいるようだが、観光だって立派な仏縁だ。観光先のお寺にはどんどんお布施をして自分の家の菩提寺に何もしないのは問題だが、観光でわざわざお寺巡りするような人は、きっと自分の家のお寺も大事にすると思う。特定の対象にしか礼拝出来ない宗派以外はあまり気にしなくて良いのではないだろうか。

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