オミクロン変異と時間稼ぎ
オミクロン変異は強い伝播性をもつ。流行を防ぐことは困難だろう。岸田首相の指示により行われた水際対策は抜け道もあったものの、他国と比べては上出来で、オミクロン変異の流行までの時間をかせぐことが出来た。
問題は稼いだ時間で何か準備が出来たのかというと怪しいことだ。前倒しでの3回目のワクチン接種や、5-11歳のワクチン接種も既に有効性と安全性が確認されたのだから実施の許可を出すべきだったのだ。3回目は医療関係者でもまだ一部しか実施されていない。
もうオミクロン変異の流行は始まっている。稼いだ時間を有効に利用出来なかったのは残念だ。日本はワクチン接種率も高く他国よりはマシなのかも知れないが、第6波では相当数の感染者が出るのは間違いない。
当院でもまた一般病床が減るだろう。コロナ対策は新型コロナウイルス感染症の患者だけの問題ではない。他の疾患の患者に対応するマンパワーも減る。流行が抑えられなくてもピークを抑える事が大事だ。患者が爆発的に増えれば薬剤も人手もベッドも供給が追いつかなくなる。引き続き、マスクの着用や手洗いや三密を避けるなどの対策を続け、ワクチンのより幅広い実施も進めなければならない。
また、デルタ変異よりもオミクロン変異の方が弱毒化しているのは間違いないが、デルタ以前と同程度かそれよりもやや強いとされており一部の陰謀論者がいうようなただの風邪では断じて無い。市中にはまだデルタ変異も残っているし、オミクロン変異でもワクチン未接種者にはコロナ禍の始まった当初と同様に危険だ。
強い伝播性をもつウイルスは防ぎきれず蔓延し、それにより集団免疫の獲得は達成できるかもしれないが、そうなる過程での死者や後遺症を残す人は少ない方がいい。一般人も、陰謀論を主張する詐欺師もそれに騙されている被害者も等しく健康であるように祈る。
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