石は玉をふくむ故に砕かれ

 玉(ぎょく)は宝石の翡翠のことで、漢土では古来から白い軟玉が珍重された。産地としては東トルキスタンのホータンが有名で特に和田玉と言われている。日本でも翡翠は取れていたが、その採掘や加工は奈良時代以降衰退しており、日本の古い文献で玉の話が出てくれば基本的には漢土の宝石である玉のことだ。

 さて、そんな玉だが、鎌倉時代に日蓮聖人が信徒に宛てた手紙の一文に「石は玉をふくむ故に砕かれ」とある。自分らが正しいから苦難にあうのだという意味で使われている。なんとも前向きな考え方だ。

 しかし、高僧でもない一般人が周囲からの反対や抗議にあった場合、自分に瑕疵がなかったか見直してみるのも大切なことだ。もちろん、間違いなく正しいことをしているのならば、理不尽な弾圧に屈するべきではないのだが、圧倒的多数から批判を浴びる場合は何か間違いが無いかよくよく検討した方がいいだろう。

 陰謀論者が叩かれるのは彼らが正しいからではなく、社会に対する脅威だからだ。

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