奇貨居くべし

 さてさて、コロナ禍が始まって2年を過ぎた今でも、芸能人だけでなく医者や学者の肩書を持った一部の人までもワクチン陰謀論や明らかに間違った新型コロナウイルス感染症に関する情報を煽りたてており、その致死的なミームをメディアが拡散させている。実に嘆かわしいことだ。

 だが、実はこの状況はコロナ禍より前からあったものだ。新聞の広告には何とかを食べると癌が消えてなくなるとか、健康になるには何とかをすればいいなどという煽りの書籍や雑誌の記事やテレビ番組が溢れていたし、健康器具やサプリメントも詐欺の吹き溜まりだった。

 だから、実は急に変な人達が増えた訳ではない。今回のパンデミックにより昔からあった矛盾が一気に噴出したのだ。少数派だが無視出来ない規模の誤情報を信奉する勢力が社会的な脅威となった。知的な社会分断は進み、それにより引き起こされた混乱は取り返しがつかないようにも見える。

 だが、これはチャンスでもある。昔からあった悪質なデマとそれを使って金儲けをする詐欺師どもを社会から根絶やしにするチャンスだ。彼らが取り締まられなかったのは、彼らの被害に遭う人間が少数派だったからだ。今や健康詐欺師達は公衆衛生と治安と秩序の敵に他ならない。信じれば人が死ぬ情報をばらまくのはテロだ。断じて言論の自由などではない。速やかな法的整備が強く望まれる。

 これを言うと、いわゆる表現の自由戦士らからはファッショだなんだと文句を言われるが、本当になんでもかんでも自由でいいのか?若い人には信じられないかも知れないが、昭和の中頃は痴漢はおろか強姦でもまともに加害者が裁かれることはなかった。子供の虐待死が疑われる例も事故として処理されていた。タバコのポイすてはあたりまえで、痰やガムはそこかしこに吐かれ、立ち小便もされ放題だった。これらはわずか数十年で次々と規制され、その結果、犯罪は激減し日本は随分と住みやすい良い国になった。次はデマや詐欺師を一掃する時が来たのだ。

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