火山噴火に関する陰謀論
トンガの火山噴火で被害に遭われた方々にあらためてお見舞い申し上げるとともに、トンガの一日も早い復興をお祈り申し上げます。
さて、いたましい被害を出したトンガの噴火災害ですが、嘆かわしいことに、トンガ国民の事を心配せずに喜んでいる愚か者がおります。なんとも哀れなことです。
いわゆるネット右翼の人にそのような言説が目立ちますが、彼らの妄想によると、今回のトンガの火山噴火では人類が産生する100年分の量に匹敵する膨大な二酸化炭素が排出されたと言うのです。だから、地球温暖化に対する人間の努力など無意味で化石燃料は使い放題で良かった、というのが彼らの主張です。実に荒唐無稽なデマです。
さて、まず第一に今回のトンガの災害でどれほどの二酸化炭素が放出されたのかは確定していません。100年分とかいう分かりやすい数字はどこから出てきたものでしょうか?もし、現代の人類が年間に産出する二酸化炭素量(約40ギガトン)の100倍もの二酸化炭素が一気に放出されたのならば、大気の総質量を5.28X10^18kgとした時に、二酸化炭素濃度は762ppm近く上昇しているはずですが、そんな現象は観測されていません。また、1年に40ギガトン近く放出されると見積もられる人間の活動により生まれる二酸化炭素に対し、1991年のピナツボ火山の大噴火ですら0.05ギガトン程度しか二酸化炭素を放出していません。今回のトンガの噴火で人類100年分の4000ギガトンもの二酸化炭素が放出された可能性はまずないと言って良いでしょう。
ともあれ、地球温暖化への対策は喫緊の課題です。おかしな陰謀論に騙されることなく、粛々と対応しましょう。
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