富豪の慈善事業と個人のボランティアと募金
ビル・ゲイツなどアメリカの大富豪は概ね慈善事業に熱心だ。これは税金対策という側面もあるだろうが、アメリカ文化の影響もあるだろう。アメリカには個人の才能は人々のために使うために神から与えられたものだという考え方がある。無神論者が増えた現代においても、アメコミという聖典群にその思想は引き継がれている。大富豪がその才能によって築いたり守ったりした富は人々のために適切に使うべきだという社会的圧力が存在しているのだ。
一方で、個人的なボランティアは富豪のように必ずしも生活に余裕がある人たちばかりではない。被災したりその救援に入った経験がある人ならば分かるだろうが、火事場泥棒のようなボランティアもどきも存在するし、救援物資という名目で明らかなゴミを投棄していく人もいる。こうした明らかな悪意が無いまでも、スキルや知識が乏しく善意と正義感だけが空回りして現地の秩序を乱し、自衛隊などの公的組織やNPOなどの経験を積んだボランティア組織の足を引っ張り、被災地に迷惑をかけてしまうような人もいる。
現地に行っても迷惑をかけるだけだろうとの自信がある人間は、スキルを持つ人達に募金を通じて資金援助した方が絶対に効率が良い。現地までの移動費や食費や寝泊まりなどにつかうお金を身銭を切って払ったあげく迷惑となっては本末転倒だ。どうしても現地に行きたいのなら、相応のスキルや知識を身につけてからにした方が良いだろう。
とはいえ、募金した先が詐欺的な集団なこともあるので用心が必要だ。これを避けるもっとも無難な方法は有名な団体に募金することだ。ボランティア団体ではないが日本赤十字とかなら、万が一内部で汚職があったとしても露見する可能性が高い。逆に、新興宗教や政治結社が災害時にボランティアを派遣して募金を呼びかけることがあるが、本当に適正な募金の利用がなされているか甚だ疑問だ。
募金は布施行にも通じる。自分への執着や貪りを捨てさせてもらう修行だと思ってボランティア団体に寄付するのもおすすめだ。そもそも、一定のスキルや組織力を有する団体は、その管理運営にもそれなりの資金を要する。先に言った大富豪の寄付で成り立っているようなボランティア団体の中にはかなりの高給取りの職員もいる。ボランティアがその活動で収入を得るのは間違っているという人もいるが、給与が高いことは優秀な人材の確保にもつながる。スーパーボランティアはもっと給与面でも評価されてしかるべきだ。身銭を切って報酬を受け取らないボランティアも立派だが、そういう人はそれでも生活が成り立つ程度の余裕があるから持続的に活動出来ているのだという事実を忘れてはならない。
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