ペットへのマイクロチップ装着義務

 来年6月から日本国内のペット販売の際に犬猫へのマイクロチップの装着が義務付けられます。コロナ禍の影響か昨今ペットの購入が増え、それと同時にペットの遺棄も増えています。ペットへのマイクロチップの装着はこうした遺棄の防止や、災害時にペットとはぐれてしまった際に発見しやすくするなどの効果が見込まれています。

 現在でも犬の場合は、毎年の狂犬病ワクチン接種の義務があり、死亡した際にも役場に報告しなければならず、犬の生存状況は公的にある程度は管理されている形となっています。

 対して猫はというと特に公的な管理はありません。そのため、無軌道な餌付けで増殖する野良猫も多く、捨て犬はほぼ見かけませんが、猫に関しては生きたまま袋詰にされてゴミとして捨てられるなどの痛ましい例もあります。

 このような状況もあり、昨年度の日本で殺処分される猫は犬の約5倍にもなっています。公的な管理が動物虐待を防ぐのは間違いないでしょう。

 一方で、今回導入されるマイクロチップは皮下に挿入されているだけですので、素人でもやろうと思えば切開して除去でき、証拠隠滅は容易です。それでも、遺棄が露見すれば罪に問われる可能性もあることから、毒殺やケージごと密閉して外傷のない自然死を装った殺害を行う人が増える恐れもあります。動物が不審死をしても検死はありません。結局は簡単に動物を殺す人間の取締りを強化しないと問題の根本的な解決にはならないでしょう。

 フランスではバカンスに行くためにペットを遺棄する人が多く、世界中どこでも身勝手な理由でペットを殺す人がいます。そもそも、生き物を育てるのはかなりの手間と費用がかかります。知識や経験が不足している人がペットショップでプロが育て展示している可愛いペットを見て衝動買いをしても不幸な結果を招くことでしょう。安易なペット飼育は避けるべきです。売れれば良いからと飼育の大変さを説明せずに大量に犬猫を販売するペットショップとブリーダーも多く、もはや組織的動物虐待と言えます。ペット業界の闇は深いです。

 マイクロチップの装着義務でペット虐待がなくなるわけでは無いでしょうが、一歩前進ではあります。次は虐待する人達への罰則強化とその確実な運用をお願いしたいものです。先日、子猫4匹をごみ袋につめて収集所に捨て殺害した男も、10万円の罰金のみでした。残念ながら動物愛護法は適正に運用されていません。また、罰則や規制だけでなく社会に動物愛護精神を涵養することが何よりも大切なのは言うまでもありません。

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