懐中名号

 懐中名号は写真に示すように豆本大の超小型の名号で三つ折りにして持ち運べる浄土真宗の本尊だ。(五円玉は大きさの比較目的)

 懐中名号は、先の大戦で出征した浄土真宗門徒の兵士が戦地で礼拝するために使った陣中名号が戦後に名前を変えたものとなる。現代では旅行先などに持って行く用途となっている。実際に展開して礼拝しなくても、本尊とともにあるという気持ちは門信徒の心を引き締めるに十分だろう。

 懐中名号を戦争で使われた物として嫌う人もいるが、携帯可能な本尊が戦争を起こした訳ではない。陣中名号を開発した戦時中の浄土真宗の教学が好戦的だったという批判もあるが、名号に瑕疵がある訳ではなく人間側の問題だ。間違った行いを嫌うのは良いとしても、その時代の物を全て否定するのは中道的とは言い難い。懐中名号が存在を許されない悪だというのは、ラジオや自動車や船や飛行機が戦争で使われたので存在を許してはならない悪だと批判するようなものだ。

 懐中名号は仏具店で販売している場合もあるが、西本願寺や系列の寺院でも授与可能なので門徒で興味がある人は問い合わせてみても良いだろう。



コメント

このブログの人気の投稿

妙好人、浅原才市の詩

現代中国の仏教