自損損他
自損損他は、自らを損じ他者も損ずることです。大乗仏教の菩薩行の理念である自利利他の反対語になります。
自利利他は仏道修行において他者の利が自分の利と同じとなる状態で、世界の幸せが私の幸せという境地です。同様の意味の自行化他は自らが仏道を修めることによって得たものを他者の教化に役立てるニュアンスがあります。これらは利他の精神に基づいていますが、まずは自分が仏道に励むことが第一です。
対して、自損損他の自損は、怒りや貪りの煩悩に突き動かされた言動により自分を害する事です。そのような行為が他者にも迷惑を及ぼし損他となるのは自明です。菩薩行の基本は、物惜しみせずに施し、悪いことをせずに、怒らないように耐え忍び、努力を続けて、心を落ち着かせることですから、煩悩のままに行動することはまさに菩薩行の対局にあります。
菩薩行の実践は自利や利他になるのと同時に自損と損他を防ぐ意義もあるのです。
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