改めて五戒を思う

 あまりにも当たり前の事である人を殺してはいけないとか、物を盗んではいけないなどと言うことを、日々自分に言い聞かせる人は少ない。だが、こうしたことは毎日思うべきだ。

 直接的な殺人行為でなくても、例えば危険運転や業務上の不安全行動など、結果として人の死に結びつくかも知れない行為は、人を殺してはいけないと常々念じていれば行いにくくなる。他にも、例えば立場の弱い人間に対して何かしらの行動を強要することも時間や費用を盗んでいるに等しく、物を盗んではいけないと常々念じていればこうした行為は行いにくくなる。

 在家の仏教徒が守るべき五戒は、殺さず、盗まず、嘘をつかず、邪な性行為をせず、お酒を飲まない、の五つだ(不殺生・不偸盗・不妄語・不邪淫・不飲酒)。完全に守れるかどうかは別として、日々これらの戒を思うと積極的には悪いことが出来なくなる。

 嘘をつかないことも常々念じていれば、嘘に嘘を重ねて大きな問題になる前にその成長を断つ事ができる。邪な性行為をしないのも常々念じておけば、魔がさして浮気や性犯罪を行い家庭や人生を棒にふることもなくなる。お酒を飲まないということも常々念じておけば、仮に飲んでも気が引けるので大量は飲みにくくなる。

 こうした戒は常々念ずることが重要だ。そうでないと人は、ちょっとくらいは良いかと易きに流れる。それこそ、ついカッとして人を殺すことなどあってはならない。また、自分の心と行いを制するのは仏道修行の基本であり、煩悩の赴くままに人生を無駄に浪費させない為にも、改めて五戒を守る努力をしたいものだ。

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