油断
油断の語源にはいくつか説があり、一般には、大乗版の涅槃経にある、王様が家臣に油で満ちた鉢を持たせて人々の中を歩かせ一滴でもこぼしたら殺すと脅したところ家臣は一滴もこぼさなかったという話に由来するとされます。油をこぼして命を断たれないように集中して慎重に行動したから油断という言葉が生まれたというものです。しかし、油断は和製漢語で中国では使われません。文献上、油断が現代の意味で使われ出したのも鎌倉の頃のようで、涅槃経起源説が本当かどうかにはいささか疑念もあります。
他の説としては比叡山が最澄の時代から代々絶やさず守り継いでいる不滅の法灯に由来するとの説もあります。この法灯は現在でも皿に入れた菜種油を燃料としており1日に2回の継ぎ足しが必要であり油断すると1200年以上に渡り燃え続けたともし火が消えてしまいます。このように油が断たれないように気をつけることから油断という言葉生まれたとの説もあり、個人的にはこちらの方がしっくりきます。
油断の語源としては他にも説がありますが、言葉の起源がどうであっても、油断は禁物です。例の流行り病も日本では落ち着きつつありますが、海外の状況をみると油断するにはまだ早いと思われます。流行り病も諸行無常、永遠に続くことはありませんので最後まで油断なく参りましょう。
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