最高裁判所裁判官国民審査
先の最高裁判所裁判官国民審査で辞めさせた方がいいとされたのは、比較的政府よりの深山氏が7.85%、反政府的立場の宇賀氏が6.88%だった。残りの85.27%が中道と言う訳ではないだろうが、わざわざアクションを起こす人は左右合わせても15%に満たず、今回の投票率(55.93%)も勘案すれば、活動的な左派は総人口の4.39%、同じく右派は3.85%に過ぎないことになる。ネットやマスコミではよく見かける彼らも実は少数派だ。
最高裁判所の裁判官の15人の構成比が極端に左右に偏ることはない。彼らは内閣から指名されるものの、左派勢力が強い日本弁護士連合会から4人が推薦され政府がそれを追認するのが慣習となっているからだ。だから、偏りが生じるとすれば日本に左派政権が誕生したときだ。その時は、弁護士枠は当然左派で他の指名も左派よりになるから一気に偏るおそれがある。だが、検察も推薦枠を2つ持っているので、ある程度はバランスをとってくると思われる。もっとも検察人事に政府が介入することもあるので安泰ではない。
さてそんな最高裁判所裁判官国民審査だが、これまでにこれで罷免された裁判官はいない。国民のバランス感覚が優れているからと言うよりは関心が薄いのが最大の要因だろう。活動家諸君が、国民を啓蒙すれば自分たちが気に入らない裁判官を罷免できると考えているのもその予測による。だが、恐らく国民の全てが関心を持ったところでそうそう罷免は生じないだろう。左右に各々支持者がいるのである程度は拮抗してしまうのに加えて、自分とは意見が違っても最高裁判所の裁判官の構成は多様な意見の持ち主をおいておくべきだと考える層が一定数いるからだ。
この問題だけではなく、色んな活動家にありがちなことだが、真実を知れば人々は自分の味方をしてくれるはずだと信じがちだ。そもそも活動家の信じる真実にはバイアスがかかっているで彼らのいう真実が本当に真実かは疑問だが、仮に客観的な真実が存在したしても、それを知った人の反応は千差万別だ。
こうした多様性があるから、とりあえず最高裁判所裁判官国民審査では自分の考えで好きにバツをつけたりつけなかったりすれば良い。それでも罷免されるのなら、やはりとんでもない裁判官だろう。
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