オオカミ少女の嘘
ある程度の年齢以上の人ならばオオカミ少女の話を聞いたことがあるだろう。インドでオオカミに育てられた少女2名が保護されたが、まるでオオカミの様に振るまっていた。その後、白人のキリスト教伝道師ジョセフ・シングの善意に満ちた養育をもってして一人がどうにか二足歩行と簡単な言語を習得できたと言う話で、幼少期の教育の大切さを示す逸話として今でも時々語られることがある。
実はこのオオカミ少女の話は捏造だ。そもそも生物学的にオオカミが人間の子を養育するなんて無理だし、シングがオオカミ少女の世話をしていた時の写真は、彼女らの死後に別の人を使って撮られたものだと判明している。オオカミ少女だとされた人間はシングの営む孤児院で普通に二足歩行をして生活していたとする証言もある。シングはこの捏造話を出版させて一儲けしようと企んだ詐欺師だったのだ。
まれに今でもこの話が子供の教育の大切さを示すものとして語られることがある。もちろん、熱く語っている人が実話だと思ってオオカミ少女の話をしているのだろう。しかし、こうして嘘は長く生き残っていくので見かけたら空気を読まずにそれは事実ではないと指摘するべきだ。
ひとたび広く事実だと信じられてしまった嘘は訂正するのにすごく時間がかかる。最悪の場合は嘘が定着してしまう。オオカミ少女の話は単に胸糞が悪いだけで害は少ないが、民族憎悪や陰謀論などの嘘が社会に定着したら、現代でもホロコーストがおきない保証は無い。
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