恩知らずと知恩
人は恩を仇で返された時に相手のことを恩知らずな奴だと非難しがちですが、そもそも恩返しされる事を期待して何かをしてはいけません。こちらが与えた何かしらの物や行為に対して恩を感じるかどうかはあくまでも受け手の問題です。
しかしながら、我が身を振り返ってみると自分が生きていく上で存在する外からの支えの多さに対して、適切な恩を感じているかと言えば怪しいものです。大半の事は当たり前のこととして感謝もせずに享受しているのが現実です。
仏教で知恩や報恩と言えば多くは仏様や宗祖に対するものです。こうしたものはわざわざ気に留めて知らなければ恩にも感じないので殊更に強調される訳です。同様に、自分が生きているだけで、色んなものに支えられているのだと注目しその恩を知るのは心穏やかに過ごす為に大切なことです。人は油断すると悪いことばかりに目が行きがちですが、それでも人の世がなりたっているのは、その悪を凌駕する支え合いと恩に世界が満ちているからでもあります。
恩を知れば世の中そう捨てたものでもありません。
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