苦行の様な過重労働で成功した話を迂闊に信じてはいけない。
世の中には苦境から努力して成功をおさめた人の話が溢れている。下積み時代の狂ったような労働時間、限界を迎え朦朧とする中での天啓のようなひらめき、文字通り血を吐きながら体重と健康を損なって掴み取った勝利などなど、こうして成功した人は確実に存在する。それはそれで良いのだが、忘れてはいけないのは、同じような努力をしてしまった人の大半は成功できなかったのであり、最悪の場合は再起不能となったり死んでしまった人もいるということだ。
苦労して成功した人の自慢話はありがたく拝聴させてもらうとして、そんな無茶苦茶なことをすれば成功する確率が上がるのかというとそんなことはない。人間は、十分に健康維持に配慮した快適な環境の方が作業効率が上がるのは明らかだからだ。
だから、もし若い頃にすごい苦労をして成功した人がいたとしても、その苦労を若者に強要すべきではない。むしろ、若い世代に福利厚生が行き届いた環境を提供してあげるべきだ。良い環境には良い人材が集まるものだ。
自分の限界を知るために一度は無茶をした方が良いという意見もあるが、人は疲労が蓄積し限界に近づくほどエラーを起こす。管理された訓練でならいざしらず、現実の仕事で限界に近づくのはリスク管理上許してはならない。
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