人間ならそんな酷い事は出来ないという誤謬
映画やマンガなどの登場人物やあるいは現実にでも、酷いことをした誰かを批判する際に「あんた人間じゃねえ!」と言う場合がありますが、これは間違っています。
批判する人の論理の形式としては、人間は酷いことをしないという前提があり、酷いことをするのは人間ではないというものです。しかし、人間は存外に酷いことをするものですから、この場合は前提が間違っているのです。
極悪非道の犯罪者に対してそう言いたくなる気持ちはわかりますが、人間じゃないとの否定は往々にして、人間じゃないモノに対して何をしても構わないという意味が含まれており、しばしば、犯罪行為の言い訳として利用されます。
また、この構文は主語を大きく曖昧にすることにより容易にヘイトにつながります。例えば、某民族のある個人が酷いことをした時に、某民族は酷い奴らだ、だから人間じゃない、人間でないから迫害しても構わない、という風な感じです。主語が某民族ではなく、例えば特定の人種でも職種であっても応用出来ますし、何なら元となる酷いことをした個人なんて存在しなくても捏造された酷い話が流布されているだけで十分です。
昔、とあるSFでロボット三原則の為に殺人が出来ないロボットに対して、人間とはなんぞやという認識を誤らせる事によって殺人を可能とする話がありましたが、人間だって相手を人間でないと否定すれば、どんな酷いことも平気でやってのける様になります。怖いなあ。
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