彼岸の中日

 春と秋のお彼岸は日本の祖霊崇拝の風習が仏教に取り入れられて出来た日本仏教独自の風習で、春秋分点を中心にした一週間、先祖に感謝し仏教の修行に励む期間です。お墓にお参りされる方も多いでしょう。

 先祖への感謝と言っても様々です。記録として残っていないレベルの遠い祖先に感謝するのは容易いことです。この辺はもはや祖霊という概念だからです。時代が下って、郷土史に残るような先祖についても、人間誰しも功罪があるものですが、子孫の我々にわざわざ伝えられる人の大半は功の方が多いし、そうでなくても家名をつないだことに対して感謝をするのに抵抗を感じる人は少ないでしょう。更に時代が下って、会ったことはないけど両親や祖父母などが直接知っている程度の比較的最近まで生きていた先祖に関しては、両親や祖父母との関係が悪かった故人ならば、お彼岸の墓参りに多少のわだかまりが生じる可能性も出てきます。

 もし、とても嫌いな親族のお骨がお彼岸にお参りする墓に入っていたとしても、故人はもうあなたに嫌なことをしてきませんから、人を許す修行だと思って冥福を祈ってあげてください。あなたと仲の悪かった故人との関係性が家族に知れているならば、お墓参りは孫や子の世代に慈悲の心を見せる機会ともなるでしょう。また、自分の死後に墓参りする人たちが嫌な思いをせずに済むように、家族は仲良く、すぐ怒ったり貪ったりせず自利利他の精神で生きていきたいものです。

コメント

このブログの人気の投稿

妙好人、浅原才市の詩

現代中国の仏教

懐中名号