行為者観察者バイアス
行為者観察者バイアスは、行為をしている人自身はその行為の原因を自分以外の何か外的な他人や環境などの状況要因に求め、他人の行為を観察している人は他人の行為の原因を他人自身の内的な資質や性格や能力などの個人の気質要因に求めやすいというバイアスです。
例えば、交通事故が起きた時に、追突事故など以外ではその責任が10対0になることはあまりありません。つまり、警察や保険会社が客観的に見れば双方にある程度の責任があるわけです。ところが、実際に交通事故を起こした人は、相手の不注意が原因で事故は起きたのだと思いがちであり、相手から自分の不注意を指摘された場合は道路状況が悪かったからとか相手のヘッドライトに幻惑されたからだとかの外的な要因のせいだと自己弁護しがちです。
他にも、重大な事件の犯人は「社会が悪い」「環境が悪い」「被害者が悪い」などの自分以外が悪くて犯行に及んだのであり自分は悪くないと言いがちです。そんな犯人の弁を伝える報道を見た人達の多くは、なんて身勝手な言い訳だと思い怒る訳ですが、自分が何かしたときにも他のせいにしがちだと言うことを思い出して過剰に叩くのは避けたいところです。
自分に何か過失があった時に、他者や環境が悪いと自分の責任を棚上げして周囲を攻撃すると、いわゆる逆ギレ状態となり状況はさらに悪化します。そうならないために、自分が何か失敗してしまった時は、まずは自分に何か問題が無かったか考えてみると良いでしょう。
しかし、実際の責任は100%個人の内的な要因にも100%他人や環境の外的な要因にもありません。いろんな条件や原因が複雑に影響しあっているのが普通です。これは良いことでも、悪いことでもそうですが、行為者観察者バイアスは、悪いことがあった時により強く現れる傾向があるように思えます。チームで働いていて、手柄は全部俺のもの失敗は全部お前のものみたいな態度でいればトラブルは必発です。自分が成功した時はより謙虚に、他人が失敗した時は他人を吊るし上げるよりも再発防止の対策に注力した方が建設的です。
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