対機説法
お釈迦様が悟りを開いたあと、自分が悟った内容を人に説くのはやめておこうと思われました。一般の人間には難しく理解できないと考えたからです。それを知った梵天がお釈迦様に法を説くようにお願いしたのが有名な梵天勧請です。梵天は、人々の中にもお釈迦様の教えを理解出来る者もいて彼らは教えを聞かなければ退歩するが教えを受ければ悟りを開けると言ってお釈迦様を説得します。この説得を受けてお釈迦様は「耳ある者どもに不死の門は開かれた」と仰って伝道をする事になります。また、お釈迦様は自分の教えが人を害すると思って教えを説くまいと思っていたと付け加えています。
この話を曲解して釈迦様は一切衆生を救うつもりは無く、優秀な者だけを救おうとしたと言う人もおりますが、お釈迦様の弟子の中で最も愚かだった周利槃特はお釈迦様の指導で一心に掃除をすることで悟りを開きました。お釈迦様は人々の能力や性質を観てその人にあった教えを授けてきたのです。特に大乗仏教が成立して以降は一切衆生の救済は菩薩行における必須の誓願にもなっています。
妄想を信じ込み世間に害をなす人達に対して説得を試みる時に分かりやすく説明する能力は極めて重要です。お釈迦様でも無ければその人の性質を見極めた上手い言葉を用いるのは困難でしょうが、コロナ陰謀論が渦巻く昨今も多くの人達が貴重な時間を潰して間違った風説に立ち向かっています。本当に頭が下がります。しかし、仏ならざる彼らの精神がその作業のためにすり減らないかも気がかりです。心身ともに皆様の健康をお祈り申し上げます。
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