お斎

 お斎(とき)は現代では法事の後に僧侶や参列者に振る舞われる食事の事で、古代インド仏教の昼食に由来します。漢語訳された時に朝食を粥(しゅく)、昼食を斎(さい)と呼ぶようになりました。古代の仏教では午後は食事を摂ってはいけなかったので、食すべき時という解釈から、日本では斎を「さい」ではなく「とき」というようになったと伝えられます。

 お斎は精進料理であることが多いですが、昔ながらの伝統的なものの他に、その技術を応用して洋風に仕上げたりデザートを作ったりと日々進化しており多様性に富んでいます。宗派によっては一般の非精進料理を供与しても良いようですが、事前にお坊さんに確認しておくのがよいでしょう。

 また、お斎は料理の技巧もさることながら、法事の後の会食であり故人を偲んだり仏縁を楽しむ意味合いが大きいとも言えます。とはいえコロナ禍の昨今、お斎の機会も随分と減っているでしょう。コロナ禍が過ぎ去ったあとにこうした文化が消えてしまわないようにしたいものです。

 

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