大食
サンユッタニカーヤに王様の大食を戒める話が出てきます。食糧事情が良くなかった昔でも王侯貴族や富豪の中には食べすぎで健康を害する人がいたようです。さて、この話で無事にダイエットに成功したコーサラ国王パセーナディは、釈尊が現世の利と来世の利で自分をあわれんでくれたと感謝しています。現世の利とは食事療法で健康を取り戻したことで、来世の利とは貪欲の煩悩を制御することで苦を弱める因を得たことを指すと思われます。
今日の日本では飢餓よりも食べすぎで健康を害する人の方が多いですが、経済的社会的事情から本当に餓死する人も稀にいます。気の毒なことです。一方で、十分な食料がありながら精神を病んだ結果として食事を拒否する拒食症こと神経性食思不振症も命の危険がある深刻な病気です。この状態は貪りが無いのではなく、異常なヤセの状態を良しとする妄執を貪っている煩悩に満ちた状態であり、同時に自身の身体を傷つけ命を危険に晒すという罪を犯しています。さらに自分の妄想を邪魔する物には激しい怒りで報いるというなんとも恐ろしい病気です。
何事も過ぎたるは及ばざるが如しです。苦行でやせ衰えた釈尊もスジャータから乳粥をもらい体力を回復し瞑想に挑めたからこそ悟りを開けたのです。栄養は適度に摂りましょう。
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