反政府バイアスと反野党バイアス
個人的に記憶にある範囲で、手放しで称賛できる政府が日本に存在したことはない。いくらかは良い政府があった時も何かしらの問題は存在した。だが、それこそが正常な状態であり、完全に無謬な政府が実在するとしたらオカシイのはそう感じる自分の認識の方だとみてほぼ間違いないだろう。
一方で、世の中には政府の主張や行動が全て誤っているとのバイアスを強固に持つ人もいる。物事は是々非々で考えられるべきなのだが、このバイアスに取り憑かれている人は、政府が常に間違った判断をするとの認識を持っており、その全てに反対する。これは政府の無謬を信じるのと同じレベルで困ったバイアスだ。
こうした反政府バイアスとでも呼べる現象は、政権の支持率が低下するに従いその力を増していく。選挙で選ばれ多数を取った政党が間接的に作ったはずの政権の支持率が極度に低下するのは多くの失政を繰り返した結果であると言える。そんな政権は信用するに値しないというのはある程度は正しいのだが、政権が何をしても盲目的に否定するのは流石にバイアスと言ってよいだろう。
例えばオリンピックの賛成反対について、状況を考えてオリンピックは行うべきで無かったから政府を批判するのは良いが、政府に反対だからオリンピックにも反対するという思考はおかしく、逆に状況を考えてオリンピックを行うべきだと考える人が政府を支持するのは良いが、政府を支持するからオリンピックも支持すると言うのは本末転倒だ。
コロナ対策にしても、少なくとも私は政府の対応は良くなかったと考えているからこの件について総合的には政府を支持しないが、では政府の対策が完全にダメだったかというとそうでもない。少なくともワクチン接種を推進しようとはしている点などは一定の評価が出来る。このような一つの問題に関してだけでも、全てが正しいことも全てが間違っているということはない。いけない点は指摘して改善を促し、良い点は伸ばす様に支援するのは当然だ。
こうした問題は政府や与党だけではなく、野党に対しても言える。野党が言うことは無条件に全てダメだとする考えを持つ人も結構な数存在する。
特定政党をカルト的に支持していると、支持政党のミスには目をつぶりがちになり、対抗する政党が良いことをしててもそれを妨害しようとするようになる。別にどこの党員であってもそれ自体は非難すべきことではないが、こうしたバイアスからは自由である方が改革が起きやすいので、結果として所属する政党の為にもなるだろう。逆に党員の異論を一切認めないような独裁的な政党は民主主義国には存在してはならないのだが、与野党を問わず存外にその傾向をもつ政党は多い。
偏見をすてて全否定ではなく議論をするようにしてもらいたいものだ。
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