ヘイトスピーチをする人達の言い分
ヘイトスピーチをする人達がしばしば言うのは、彼らが叩いている相手も自分たちに対して酷いことをしているということだ。まあ、実際にどこの国民でも何民族でもその中に他を過剰に悪く言う人はいるので、その発言だけを切り取れば相手も悪いとの言い分は嘘とまでは言えない。しかし、だからと言って、なぜに相手と同じようにその国民や民族の全体を叩く必要があるのか?主語や目的語が大きすぎるのだ。また確かに、独裁国家などにおいては権力者の意向を汲んでその社会のほぼ全体が特定の外国を叩くこともある訳だが、それはその国民や民族が悪いと言うよりは体制の問題であり同じ土俵に乗っても意味がない。粛々と反論し、他国の国民までそうしたヘイトに乗らないように政治的文化的対応をするしかない。
ヘイトは基本的に主語と目的語が大きすぎるので、議論としては無理筋すぎる。なのでヘイトをヘイトで返しても状況の改善には役に立たない。やっている人達の溜飲が下がる程度の効果しかない。幼稚園児の喧嘩の方がなんぼかマシなくらいだ。何者かがヘイトを仕掛けて来たら、ヘイトで返すことはせずに理詰めで相手がヘイトスピーチをしている事を広くしらしめて、大義名分を確保してから交渉した方が良い。もちろん交渉相手はヘイトの活動家では無く、政府などになる。ヘイトを取り締まらない政府はその責任を問われるので、国の不手際は外交のカードとなる。ただ、ヘイトをする方も全く無関係な国や民族を突然悪く言うことは無く、取り締まりが甘いのであれば何かしらの意図はあるだろう。
こうしたヘイトは国家や組織の利害の不一致に原因がある場合が多い。とても関係が良好な二国間においてはお互いへのヘイトはほとんどない。だから対立する両陣営の利害の問題が解決すれば概ねヘイト問題も解消する。ヘイトはあくまでも煽りだと思っていい。逆に政治的に解決不能な対立を抱えている二国間においてはヘイトはとても発生しやすい。しかし、ヘイトスピーチが問題の解決に寄与しないのであれば、その蔓延は余計な犯罪を増やすのみなので、治安当局としてはこれを取り締まるのが妥当だ。独裁国においては民間を煽ってヘイトクライムを誘発させ、それを政治的に利用することもあるが、倫理的に邪道で許容できない。
こういう理由で、ヘイトスピーチをする人達の相手も悪いという言い分は、だから何?という程度の意見しか無い。なんとか民族に悪い奴がいたという話を、なんとか民族は全て悪い奴だと変換し、日本人全体が狙われており危険だと煽るのは実際の政治的経済的軍事的な脅威に対する判断を誤らせるバイアスで有害だ。もし、馬鹿げたヘイト論法をもつ人が政治的な権力を握れば悲惨なことになる。そして、社会にヘイトが蔓延すると、ヘイトの首長が誕生しやすくなる。無駄に見えても日々ヘイトスピーチに反対するのは有益だ。
俗世での利害を抜きでもヘイトスピーチは嘘を用いて人々の対立と怒りを煽りそこから自分たちの利益を得ようとする貪欲さもあるので、仏教的にも到底許容できない。今後ともヘイトスピーチを撲滅すべく精進して参る。
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