人権侵害非難決議見送り

 本日、今期の国会が閉会した。この国会で決議を目指していた中国による香港やウイグルの人権侵害を非難する国会決議案は成立出来なかった。欧米などの自由主義国が次々と対中制裁や非難決議をする中、日本は結局なにもせず独裁国を助けたことになる。この決議案はそもそも去年11月に与党自民党の議連が発案したもので、その決議に向けて地道な努力が続けられてきた。そのかいあって、立憲民主党や国民民主党も決議に同意していた。日頃の政治的対立を超えて人権を守る普遍的な価値観を共有し各党が協力する意思を見せたのだ。

 しかし、あとは決議するだけとなった土壇場で事態は急転する。与党公明党がこの決議に反対したのだ。国会決議は全会一致が原則だ。だが、過去にはそうでなくても決議されたこともあり(※)公明党抜きでも決議は出来たはずだ。しかし、その後の政局や選挙対策を有利に進めたい言い出しっぺの自民党が折れ公明党に屈したのだ。この国会決議を成立させるために奮闘してきた人達の無念を、今現在でも中国による民族浄化を受けている諸民族の悲しみを、一体どうすれば良いのだろうか?また、これにより自民党は人権を蹂躙し独裁国を助ける姿勢を明確に打ち出したことになる。この国は危険な方に向かっている。

 それを止めようとて、悲しいかな政党単位でみればどこも大した差が無いのが実情だ。しかし、どんな選挙区でも政治家個人で見た場合どちらかがよりマシであろう。今回、公明党以外は人権蹂躙に反対したのだから、公明党以外の各政党にはそれぞれに良い政治家はいる。次の選挙は政治家個人の資質をみてよりマシな方を選択するしかない。そうすることで、マシな政治家により政党の再編が起きることを期待したい。

(※)例えば、歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議は、平成7年(1995年)に衆議院の総議席502に対しわずか230の賛成で成立している。これは当日は採択しないとの誤情報を流して多くの反対派議員が退席した後で、突如当時の土井たか子衆議院議長が国会を再開し251名の出席者で決をとった結果である。この国会決議を元に有名な村山談話が発表され今日にも政治的影響を残している。また、先日のミャンマーにおける軍事クーデターを非難し、民主的な政治体制の早期回復を求める決議も参議院は全会一致だったが衆議院は賛成多数で決議されている。全会一致にならないから見送るというのがそもそもおかしいのだ。自民党を強力に擁護する人達も、公明党のせいで全会一致にならずに自民党は決議を断念せざるを得なかったと言っているが、全会一致はあくまでも原則というか単なる努力目標に過ぎない。ことの重要性を考えれば、公明党を除く全政党が一致していたのだから決議に持ち込めばよかったのだ。それをしなかった自民党の責任は重い。

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