西郷南洲翁手抄言志録より2

 幕末の儒家である佐藤一斎の書「言志四録」より百一条を西郷隆盛が抜粋して座右とした「手抄言志録」の第二十七、

處晦者能見顕 據顕者不見晦 (晦におるものはよく顕を見る 顕に拠る者は晦を見ず)

 現代語訳では、「暗いところにいる人は明る所を見ることができる。明るいところに拠っている者には暗いところが見えない。」となります。

 恵まれた環境に依存していると苦しむ人達の事が分からなくなるものです。この言葉は儒教の物ですが、大乗仏教の先人達も理屈や瞑想の中の真理や安穏に満足すること無く大いな慈悲をもって苦しむ衆生の中でともに生きてきました。

 日本において神道と仏教が習合したように、漢土においても主に宋代からは仏教は儒教や道教と習合しており、そこかしこにお互いの影響があるようにも思えます。

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