こどもの日
5月5日はこどもの日、端午の節句で男の子の日とされていましたが、男の子の節句とする風習は鎌倉時代頃から存在はしたものの確定したのは江戸時代で割と最近の話です。厄災を払う端午の節句自体は奈良時代に漢土より伝わったものですが、ずっと古くの日本では田の神様を迎える女子のお祭りであったとの説もあります。3月3日は桃の節句で女児の日とされるので、5月5日が祝日なのはバランスを取った気もしますし、昨今ではジェンダー問題もあり性別をつけない方がよいのかも知れません。子どもたちの健やかな成長を願います。
しかし、思えば昔の子供の扱いは悪かったです。かつては尊属殺人が極めて重罪だったことからも分かるように、親と子の命の重さの差は天と地ほどの開きがありました。近年、子供の虐待問題が報道を賑わせていますが、これはそういう事件が問題視されるようになっただけで、以前はしつけ中の不幸な事故として問題にすらならなかっただけです。1970年代の人気アニメのガンダムで、上官的立場のブライトから殴られた主人公のアムロが「親父にもぶたれたことないのに!」と言い、それに対して「殴られもせず一人前になった奴がどこにいるものか」とブライトが返答するシーンがありますが、当時これを観た人の多くはブライトさんの暴力に眉をひそめるのではなくアムロの甘ったれた身勝手さに失望したものです。それより古いアニメの巨人の星では父親の暴力は日常茶飯事であり、親や場合よっては先輩や上役が暴力で子供に言うことをきかせる行為はほんのちょっと前までは教育の範疇だったのです。それからすると子供の扱いは年々改善しており、長男以外は家の為にいつでも死ねるようにと教育された世代からすると隔世の感があります。なお念の為ですが、これは常識や法律の変遷であり昔の親に子供への愛情が無かった事は意味しませんし、逆に暴力を振るわないから今の親のほうが子供への愛情に満ちているということも意味しません。ただ、暴力を防ぐ常識や法体系の方が優れているのは言をまちません。暴力への歯止めが無いと、弱者たる子供は容易に被害者になるからです。
しかし、改善したとはいっても未だに子供の虐待は後を断ちません。こどもの日にあたり、全ての子供が暴力の恐怖にさらされることが無いように切に祈ります。
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