老少不定の実際を簡易生命表で見る。
人の命は若くても老いていてもいつ消えるか分からないとする老少不定という言葉は、現代では浄土真宗の白骨の御文章でもっとも有名かと思いますが、平家物語の「老少不定の世の中は石火の光に異ならず」や妙行心要集の「念念亡身 歩歩近死 況老少不定 旦暮難知 年過半人 残日為幾」などでも知られます。寿命が伸び、若年者の死亡率が下がっている現代において忘れられがちな事ですが、常に老少不定を思い日々を大切にしたいものです。今日は、史上もっとも死から縁遠くなっている現代日本の年齢別の死亡率をみて、老少不定を思ってみたいと考えます。
厚労省が発表している令和元年版の簡易生命表によりますと、0歳児の年間死亡率は男子で0.199%でありおよそ0歳男子の500人に1人は1歳になること無く死にます。意外と多いものです。女子では0.178%で男性よりもやや少なく、生まれたての頃から女性の方が強いようです。死亡率が最低になるのは男子で10歳の0.007%で1万人に1人も死なない事になりますが、日本には50万人ほどの10歳男子がいるので確率的には年間で35名ほど死にます。女子は9歳と10歳で0.005%とやはり男子より強いです。以後、死亡率は徐々に上がってきますが緩やかであり年間の死亡率が0.1%つまり1000人に1人を超えるのは男性で41歳の0.101%、女性では47歳の0.110%です。こうして死亡率がほぼ0%から0.1%上がるのに男で31年、女で38年を要した訳ですが、年間の死亡率が更に0.1%増えて0歳児の死亡率を超えるのが、男性で48歳の0.200%でありわずか7年で倍の死亡率になります。また、この年齢だと男性はおよそ女性の倍ほど死にやすいことなります。やはり女性は強いです。女性の年間死亡率が0.2%を超すの55歳で男よりも強いですがやはり8年で死亡率が倍になります。この頃から友人や同年代の知人の訃報をよくきくようになり寂しい物です。人間は歳を取ると加速度的に死にやすくなるので、若い頃は気にして無かった死を強く感じだすのもこのくらいの年齢からでしょう。0.1%ずつのプロットをとると気が滅入るので次に1%を超えるのはいつでしょうか?男性は65歳の1.030%です。年金がようやくもらえると思った男の100人に1人はその年の内に死にます。女性の年間死亡率が1%を超えるのは74歳の1.026%です。男女比較ではもはやチートかと思うレベルですがそれでも確実に死にやすくなっていくのです。10%を超えるのは男性で87歳の10.497%、女性ではなんと91歳の10.567%です。ここまで来ると既に平均寿命を超えており体感的には逆に低く感じるかも知れませんが、若くて死ぬ人も多いのでこうした寿命エリート達の努力で平均寿命は伸びているのです。とは言え男性で22年間、女性では17年間で10倍死にやすくなっています。この表の100歳での年間死亡率は男性で36.985%、女性は30.624%で、やはり超高齢者は強いです。しかし、どんな元気でももって数年でしょう。現在の長寿世界一の118歳がいかに凄まじい記録なのかが分かる数字でもあります。
これを読んでいるあなたは今おいくつでしょうか?多くの人が自分の年齢の死亡率を考えると意外と多いなと感じるかも知れません。人は割と簡単に死にます。日々無駄にすること無く精進したいものです。
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