ミャンマー軍に対して強硬姿勢に出ると孤立して中国に接近するから甘やかそうという愚論に喝
主に一部右翼の理屈ですが、現在ミャンマーで暴虐の限りを尽くしている軍に対して世界が強硬姿勢で制裁を加えれば、孤立したミャンマーは中国との連携を深めてしまう、だからミャンマー軍の暴虐には目をつぶり国民の弾圧や虐殺に加勢しようというものがあります。言うまでもなくこの世にこれ以上の愚論があるか疑わしいレベルで狂った話です。しかし、残念な事に、自由主義諸国の多くがミャンマー軍に制裁を加える中、日本政府はミャンマー軍を支援し続けており、多かれ少なかれ上記の理屈に基づく行動かと思われます。また、一部の日本企業もミャンマー軍とのビジネスを続けており、ミャンマー国民だけでなく世界からも呆れられています。
何が間違っているのか改めて説明するのも馬鹿馬鹿しいですが、まず初めに政治的な面から誤りを指摘します。現代の世界は米中の冷戦というか自由主義諸国と独裁制諸国との冷戦状態だと言えます。つまり、自由主義諸国からの支援を望めないミャンマー軍は地理的に見ても中国を頼らざるを得ない状態であり、日本がミャンマー軍を支援しようがしまいがミャンマー軍の中国への傾倒は避けられません。そんな、中で日本がミャンマー軍にくみすれば、日本は独裁国チームの味方だと見なされかねません。再びアメリカ相手に戦うつもりでも無いのなら、即刻ミャンマー軍への制裁を発動すべきです。ただ、日本の現政権は中国に対しても極めて融和的であり、実際に独裁国チームに入りたがっている可能性も否定できず恐ろしい事です。
経済面から見ても誤っています。SDGsやESGやSRIは単なる理想論ではありません。世界規模での環境の改善や格差の是正は短期的な利益ではなく中長期的な経済の安定的発展には欠かせないものです。SDGsなどは環境問題や格差を無視しがちな独裁国を牽制するための経済界からの圧力という面が強いのです。一時的な利益に目がくらみ独裁国との濃い関係を続ける企業には制裁は下されます。実際に、中国の民族浄化政策を否定するかのような談話を発表していたユニクロで有名なファーストリテイリングが先日アメリカから制裁対象とされました。独裁国との関係を続けるならば自由主義諸国との対立は今後避けられません。冷戦の勝負がついた時に負け組であれば回復不能な打撃を受ける事でしょう。また、もし勝つのが独裁国側だったとしたら、多少のおこぼれにあずかれても待つのは地獄のような社会です。常識的判断ができる経営者であれば、SDGsやESGやSRIの理念にも合致した行動をとるはずです。
最後に倫理的にももちろん間違っています。これに関しては、日本の行動はもちろんミャンマーの宗教で大勢を占める上座部仏教の反応の鈍さにも懸念が持たれます。以前のミャンマー民主化運動では現地の仏教界の動きは活発でしたが今回は驚くべき大人しさです。嘆かわしい。ミャンマー軍政が崩壊した後、こうした仏教界の無策により民衆の仏教への支持が大きく低下する恐れもあるかと思います。
とにかく、ミャンマー軍を支援するのは、政治的にも経済的にも倫理的にも誤りなのです。日本政府には一秒でも早い方針転換を期待したいものです。
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