七不退法
観無量寿経でもおなじみの阿闍世王がヴァッジ族を征服しようとした時に、お釈迦様に使いを出してその是非を問うたとする話が南伝の方の涅槃経にあります。この時、お釈迦様は王の使いには返答せず、弟子の阿難尊者にヴァッジ族が組織を衰亡に向かわせない七つの法(七不退法)を守っているかを尋ねて、阿闍世王に侵略を断念させたと言われています。
この七不退法は、2500年ほど前のインドでは正しいと考えられていたものです。果たして現代に通用するかは別として、お釈迦様在世のころの世間の価値観をみる上で興味深いです。その七つの法とは、
1.多くの人が会議をよくすること
2.協力して問題に対処すること
3.古くからの決まりを守ること
4.年長者を敬うこと
5.女子供に思いやりをもつこと
6.聖域を大切にして布施にはげむこと
7.尊敬される修行者を快く受け入れること
の七つとなります。現代の日本の価値観だと、大多数の人がそうだと言ってくれる法は1と2だけになりそうです。3と4は改革を阻害するとされるでしょうし、5はパターナリズムとの批判は避けられないでしょう。6についてはそうあるべきだと思ってくれる人も多いでしょうが、現実問題として多くの寺社が朽ちていっています。7は修行者自体が珍しいですが、雲水さんはだいたい怪しがられています。また、現実として守られている項目は日本国としてみれば一つも無いように思えます。価値観は時代とともに変わるので致し方ない面もありますが、お釈迦様の予言どおりに日本が衰亡しないよう祈ります。
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