少欲知足とポリアンナ症候群

 少欲知足は仏教の基本の一つです。あれもこれもと貪らず、今あるものに感謝し満足することです。この精神があると布施や持戒や忍辱がはかどります。

 ポリアンナ症候群とは医学用語ではなく、小説「少女ポリアンナ」「ポリアンナの青春」の主人公ポリアンナがどんなに苦しい目にあってもその中になにか良かった事を探して明るく振る舞うのになぞらえて、悲惨な状況を受け入れそれに満足する人やその状態を指すようになった言葉です。同じくポリアンナの小説に由来して、不快な事より楽しいことの方が記憶に残るというポリアンナ効果という言葉もあります。多くの人の思い出が美化されやすいのはこの影響かも知れませんが、逆に嫌なことばかり気にして覚えている人もいるので個体差は大きいのでしょう。日本では「愛少女ポリアンナ物語」というアニメもあったのでポリアンナの名前や「よかった探し」は知っている人も多いかと思います。しかし、ポリアンナ症候群は、例えばブラック企業での奴隷労働に幸せを見つけ過労死しそうないきおいで奉仕する洗脳された人などを揶揄して使われる事が多い言葉で、ポリアンナのイメージもすっかり悪くなりました。

 さて、仏教の少欲知足はポリアンナ症候群のようにツライ現実から目を背けた弱者の現実逃避なのでしょうか?少欲知足だけに執着し実践するとそうかも知れませんが、仏教は体系的な思想です。仏教ではそもそも奴隷労働のような悪行やその助長は禁止されていますので、そのような事態には陥らずに済みます。どんな思想でも部分的に切り出してそれのみに執着すれば酷い結果になることもあります。中道の精神をもって精進しましょう。

コメント

このブログの人気の投稿

妙好人、浅原才市の詩

現代中国の仏教

懐中名号