ヒューマンエラー
新型コロナウイルスワクチンの大規模な接種が始まってから、間違えて使用期限切れのワクチンを使っただとか、誤って生理食塩水を注射しただとか、無駄な廃棄が発生しただとか、色々と問題が起きています。
しかし、これらのミスはある程度は想定の範囲内であり、ちゃんとエラーとして報告されるのはむしろ良いことです。今回の様に国民の大半にワクチンを接種しようとするような大規模な作業の場合、人間のミスによる失敗は必ず起きます。大切なのは、そのミスがどのような過程で生じたかを調べて、そのミスを起きにくくする対策を練ることです。決してミスをした人を社会的に吊し上げて個人に責任を取らせて、ミスが起きやすい素地を放置してはなりません。
今回の件だけではなく、多くの職場に作業マニュアルが存在するのは、それまでに生じた失敗の経験から、ミスを少なくするべくルールが作られたからです。そして、新たなミスは報告され検討されないと、次のマニュアルに反映できず、せっかくの経験が無駄になります。職場でミスが生じた時に、あくまでも個人的な責任よとミスの当事者を責めて懲罰を与えて、その恐怖から他の職員の注意を喚起するような方法では、ミスを生じやすくする作業方法の改善が出来ないばかりではなく、懲罰を恐れた職員は自分のミスを報告しなくなり、結果として組織全体の進歩を大きく阻害します。
マスコミは、こうしたミスをすごい勢いで叩きますが、マスコミにも日々生じているであろうミスはほぼ報告されません。ミスを糾弾し当事者を吊るし上げる企業文化がミスを隠蔽する体質を生むのです。
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